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2008冬北海道旅行記
【3月9日(日)】

朝、目が覚めて、外を眺めると、快晴。今日は、摩周湖まで車で行って降ろしてもらって、スノーシューでコースを歩く段取りになっている。最高の天気だ。
朝ご飯を食べた後は、急ぐこともないので、しばらく、宿にあった「THE BIG YEAR 小鳥たちと男たちの狂想曲」という本を読む。夕べの食事の時に、面白いと教えてもらったのだ。内容はバードウォッチングに関するのだが、聞いた通り、自分のようにバードウォッチングにあまり興味のない人にもいい。ビッグイヤーというのは、あるバードウォッチングの競技の名前で、1年間、北米大陸で、どれだけの種類の鳥を見ることができるかを競うもの。が、参加者の思い入れが半端ではない。もう、人生を賭けている感じで、その人間模様が面白いのだ。

結局、10時頃に宿を出発。途中、セイコマートで昼ご飯を買って、摩周湖の第一展望台に到着。駐車場には、車がいくらかある程度で、夏の喧騒が嘘のよう。

コースは簡単に分かった。カルデラの縁に沿って、スノーシューの跡が付いている。が、展望台の近くは、雪が固くて、靴でも歩けるくらい。
湖の方向は、絶景が広がっている。青空をバックに、遠くには、冠雪した斜里岳。手前には摩周岳。下を見ると、真っ白に凍った摩周湖が広がっている。そして、湖面には、ぽつんとカムイシュ島のアクセント。胸が空く景観だ。思わず、伸びをしてしまう。
そして、反対側は、こちらも青空をバックに、遠く、山並みが見える。中に一際高く、雄阿寒岳と雌阿寒岳が立っている。うーん、気持ちいいなぁ。それにしても、空が青い。日に焼けそう。セイコマートには、季節外れで、日焼け止めは売っていなかった。
先行者もすれ違う人もいない。一人で、景色を独り占めだ。

真っ白に凍った摩周湖 摩周湖のコースからの雄阿寒岳と雌阿寒岳
真っ白に凍った摩周湖 正面が雄阿寒岳。その左側に、うっすらと見えるのが雌阿寒岳

だんだん、暑くなってきた。時々、立ち止まると、微風が吹いているのが分かる。風で、枯れた笹の葉がカラカラと音を立てている。他に聞こえるのは自分の耳鳴りだけ。昨年の知床でも感じたけど、この静けさが新鮮だ。

コースが斜面になってきた。ちょっと、くたびれてきたな。スノーシューの跡も少なくなった。このコースは、基本、折り返しなのだが、どこまでも行けるので、ついつい歩いてしまう。目の前の尾根を越えて、そこの景色を眺めてから戻ろうか。
足元の雪の下は、笹が生えているのか、スノーシューがズボズボ潜ってしまい歩きにくい。斜面も、結構、急で、息が切れる。で、尾根を越えたと思ったら、また、その先に尾根が見えた。でも、もうここでいいや。
湖の対岸には展望台が見える。豆粒程の人も見える。向こうからこちらも見えているのだろうか。だとしたら、何で、あんなところに人がいるのかと思っているかも。そう考えると、何か楽しい。
このコースは、携帯がつながるのでGPS機能で現在位置を確認してみると、湖の南端を少し回りこんだ辺りのようだ。

折り返して歩いていると、湖の反対側の空は雲が出てきた。風も少し強くなってきて、気温も下がっているようだ。といっても、まだ、青空と言える空だけど。途中、2人組みとすれ違うが、一方が宿の主人か何かで客をガイドしているような感じ。

摩周湖のコース脇の動物の足跡 摩周湖の反対側の平原
コース脇には、所々、動物の足跡があった 摩周湖の反対側には平原が続く

展望台に近づいてきた辺りで、コース脇に座りやすいところを見つけて、途中で買ってきたおにぎりを食べる。普通に筋子を売っているのが北海道らしい。サッポロ・クラシックも買ってきたので、プシュッ、ぐびり。ジャケットのポケットに入れておいたので、ちょっとぬるいな。でも、うまい。雪の中に挿し込んでおく。
食べていると、クロスカントリーを履いた人が脇を通り過ぎていく。このコースをクロスカントリーでというのは、ちょっと、大変そう。
はー、それにしても、素晴らしい景色。こんなところでビールをのむなんて、贅沢だよなぁ。クラシックは、350ml缶を買ってきたけど、500mlにすればよかったっす。

摩周湖のコースでのんだサッポロ・クラシック 真っ白に凍った摩周湖
うまいっす こんな景色を眺めながらビールをのむなんて、贅沢過ぎる

展望台まで戻ると、宿に電話をかけて迎えに来てもらう。結局、2時間半くらい、遊んでいたな。歩くと暑くて、ジャケットはいらないくらいだった。
途中、10人くらいの若者が、ちょっとした斜面でスキーをやっていた。近くにスキー場があるのに、何だったんだろう。
待っている間、展望台から摩周湖を眺める。夏は人がごった返しているので、最近は、近寄らないけど、改めて見ると、この景色は雄大だ。そうそうあるものではない。見直してしまった。多分、夏も、先程歩いたコースまで行ってしまえば静かだろうから、そうすればいいかも。

宿に戻ると、まだ、2時前なので、ご主人に教えてもらった近所をスノーシューで歩こう。
で、国道の反対側まで車に乗せてもらって、道路から、雪の積もっているところに入ると、ひゃー、牧場なのか畑なのか、一面、人間の足跡は全くなし。あるのは、動物の痕跡だけ。痛快。これは、気持ちいい。自分の足跡を思う存分付けて歩く。
雪原には、林の影が格子模様のように映っていて、ちょっと不思議な模様をつくっている。自分は、何故か、その模様を見て、音楽のようだと思った。

牧場なのか畑なのか、気持ちいい! あるのは自分の足跡だけ
牧場なのか畑なのか、気持ちいい! あるのは自分の足跡だけ

しばらく歩き回った後、林の中に、イスに丁度いい、ねじ曲がった木があったので、そこに座る。そして、摩周湖の帰りにセイコマートに寄ってもらって買ったサッポロ・クラシックを開ける。はー、気持ちいい。缶を雪の中に挿しておくと、あっという間に冷える。
真上を見ると、木々の枝の先に、真っ青な空が広がっている。近くに国道が走っているので車の音がするが、ここでも、他に聞こえるのは自分の耳鳴りだけ。風もなく、午後の穏やかな時間が過ぎていく。なんとも、贅沢な時間。青空が心に沁みる。
足元の雪質は、もう、粒の大きい、ザラメ状。先程の摩周湖もそうだった。春が近づいている。でも、一面の雪を見ていると、まだという気もして、ちょっと、中途半端。とはいえ、もう、2,3ヶ月もすれば、新緑がすごいんだろうな。一度、6月の道東に来てみたいなぁ。北海道は6月が一番という話は昔から聞いているのだが、未だに実現していない。オートバイだと、いつのことになるか分からないから、飛行機で来てしまおうか...
今度は、500ml缶を買ってきたので、ゆっくり、過ごせました。ハハハ

青空が心に沁みる 春は近づいている
青空が心に沁みる 春は近づいている

さて、戻ろうか。歩いていると、さっきから、時々、ズズーンという音がしている。なんだか、雪が崩れているような音なのだが、こんな平らな斜面で雪崩なんかあり得ないと思っていると、目の前の足下で、また、音がした。うっ、なんだ?表面上は、特に、変化はない。よく分からないけど、時々、ズブズブと潜ってしまうところがあるので、雪ノ下が笹薮にでもなっていて、底の方で雪が崩れているのだろうか。ちょっと気持ち悪いので、ルートを変えて、道路に戻った。

宿までの途中には牧場があって、屋外に、2,30頭くらいの牛がいる。で、自分が近寄ると、全員、寄ってきて、こちらを見ている。これだけの数の牛に見つめられると、なんか、変な気分。牛って、好奇心が強いんだよね。

宿の近所の牛
歩いている人間が珍しいのか、注目を浴びてしまった

宿に着いて一休みしていると、時間は、まだ、4時前。ご主人にお願いして、三香温泉まで連れて行ってもらう。
温泉に着くと、ちょうど、子供連れの家族が到着したところで、宿の人が出迎えている。ここのよさが分かるのは大人な温泉好きだと思うので、子供連れが泊まるのが意外な感じがした。

で、今年は薪ストーブは焚かれていなかったけど、相変わらず、露天風呂はいい雰囲気。森を通して、白く凍った屈斜路湖が見える。空気が澄んでいるせいか、野鳥が多いせいか、この清々しさは、本当に不思議。最初は、他にも入浴客がいたが、後半は、貸切りになった。休憩室に、本当は昨年一杯で閉館の予定が、売却の都合で今も開けているというようなことを書いた貼紙があった。「北海道いい旅研究室」で事情は知っていたけど、そういうわけなので、ゆっくりとお湯を満喫しました。

外に出ると、ここには、犬が2匹いるのだが、一方の柴犬のような方が、「かまってくれ、かまってくれ」と訴えている。で、近づいて、写真を撮ろうとしたら、急に機嫌が悪くなったのか、そっぽを向かれてしまった。
見上げると、西の空が微かに赤くなっている。雲がほとんどないので、夕空はイマイチ。ちょっと、期待していたんだけど。

三香温泉の露天風呂
三香温泉。相変わらず、清々しい雰囲気

宿に戻ると、夕ご飯まで、まだ、時間があるので、外で、空を眺める。
辺りは、もう、薄暗い。冬枯れの木々の向こうに、夕暮れの青のグラデーションが広がり、下弦の月が切れるように鋭く輝いている。まったく、北海道の景色は、いちいち、絵になる。

はー、一日が終わってしまった。そういえば、三香温泉からの車の帰り道、道路脇の空地を一匹のキタキツネが歩いていた。彼だか彼女が、何となく寂しそうに見えたのは、自分の心の反映だったのか。

月が切れるように輝いている
月が切れるように輝いている
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