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2008冬北海道旅行記
【3月8日(土)】

この週末は、嫁さんが友達と香港に行くらしい。話を聞いた時は、「あっ、そう」としか思わなかったが、週末の前になって、一人で家にいる理由もないなと気がついた。じゃあ、どうしようか。月曜日は有給も取れそうだ。でも、キャンプ・ツーリングにはちょっと早いか。宿を取ってツーリングというのも、イマイチ気が進まない。ならば、北海道だねということで、バタバタと手配完了。
最初は、糠平も考えたが、3月はタウシュベツ川橋梁に行けないようなのでパス。で、今回も、昨年の北海道旅行と同様、道東をレンタカーで移動して、宿は、これまた昨年同様、「鱒や」に連泊することにした。

当日は、昨年より出発時間が早くなっている6:55羽田発の飛行機で女満別に向かう。
ロビーから飛行機まではバスで移動し、小さな飛行機に乗り込むと、機内は、昨年同様、ほぼ満席。で、旅にいいかなと思い持ってきた「イスラームの世界観 「移動文化」を考える」を読んでいるうちに、女満別に到着。昨年は気が付かなかったが、途中、窓から、真っ白に凍結した屈斜路湖が間近に見えた。


空港を出て、レンタカーの事務所に向かう。外にある気温表示板には1度とある。天気予報では今週末は暖かくなると言っていたが、その通りだ。
事務所の手続きでは、最初に、カウンターの女の子に、「では、免許証をお貸し下さい」というようなことを言われた。えっ、あっ、

ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー、
免許証忘れた..........

絶対持ってきてない。変な確信があった。普段は、免許証は、定期入れに入れている。で、今回は、ポケットがないズボンを履いてきたので、邪魔にならないよう定期入れは置いてきたのだ。Suicaのカードは抜いて持ってきたのに、免許証のことなんて、全く、頭に浮かばなかったよ...

カウンターの女の子も、気の毒そうにしている。が、どうにもしようがない。これも、変な確信があった。なので、そのままキャンセルしてもらって空港に戻る。

もう、頭に来て、このまま乗ってきた飛行機で帰ろうかとも思ったが、それも大人気ない。電車で移動するのもまたいいかと、無理矢理、思い直して、網走市内行きのバスに乗り込む。
バスが動き出す。それにしても、窓の外は、いい天気。くー、くやしいなぁ、もう、もう、もう。
おっと、いかん、いかん、前向きに考えないと。
ということで、これからの段取りを考えてみる。
当初の予定は、おおよそ、変えないでいこうか。その場合は、今夜の宿が車でないと行けないところなので、迎えに来てもらう必要がある。明日も、車で運んでもらわないと、どこにも行けない。ならば、いっそのこと、全く、予定を変えてしまうか。車が無いならば、街をエンジョイするとか。その場合は、まぁ、のみ食いだよなぁ。釧路の居酒屋かなぁ。それとも、札幌まで大移動してしまうか。などと考えながら、バスは網走市街に向かう。
途中、地元のおばあさんが何人か乗ってきた。車内は、仕事の人と観光客ばかりなので、ちょっと違和感がある。
真っ白に凍った網走湖が見えてきて、しばらくすると、バスは、湖が網走川に流れ出す辺りに来た。昨年、あざらしらしきものを見掛けたところだ。今年はどうかなと思いつつ目を凝らしていると、あー、いたいた。あれは、あざらしだね。しかも、今年は4頭いる。これならば、昨年のも、あざらしだったに違いない。

駅近くのバス停で降りて、網走駅に向かう。駅前には、観光客向けに、鮭が吊るされていた。
ここでは、電車の時間を確認したいので、置いてある時刻表を眺める。本数は少ないだろうなと思っていたけど、それを越える少なさ。自由度はあまりない。一応、当初の計画通りにするかと思い、迎えに来てもらえるかどうか宿に電話をしてみると、大丈夫とのこと。明日も、なんとかなりそう。で、結局、網走駅16:15発の電車に乗ることにする。

網走駅の鮭
網走駅の鮭

時間は、10時頃。さて、どうしようか。とりあえず、砕氷船のおーろら号にでも乗ろうか。一度、乗ったことはあるんだけど、他にこれといってないしね。駅隣接の観光案内所に行くと、14時発の船があるとのことで、予約をしてもらう。次は、午前中だけど、北方民族博物館かモヨロ貝塚かな。こちらも行ったことがあるけど、博物館は特に印象がよかったので、そっちにしよう。バスは本数が少なそうなので、駅前からタクシーに乗ってしまう。

道すがら、運転手と、免許証を忘れた事情も含めて世間話をすると、今年は、何年か振りで、流氷がすごいらしい。で、「能取岬とか知床とか、それはすごいですよー、免許証を持ってきていればねぇ」みたいなことを何度も言う。うー、それは言ってくれるなーと思いつつも、能取岬は網走市街から、そんなに遠くない筈。幾らくらいかかるのか聞いてみると、1万円ちょっと。加えて、そういう事情なら、少し安くしますよとのこと。結構な金額だけど、当初は、レンタカーで行こうと思っていたんだよな。次回、流氷が多いタイミングに出会えるのもいつか分からないので、博物館で降ろしてもらった後、1時間後に迎えに来てもらうことにする。

博物館の中に入って、カウンターで入場料を払う。前回、ここに来たのは7年前。そういえば、その時、ここのカウンターにすごい美人がいて、網走に、こんな美人がいるのかとびっくりしたことがあった。
中に入ると、企画展をやっていて、デルスウ・ウザーラの文字を発見。知らなかったが、「森の人 デルス・ウザラー」(群像社)という絵本があって、その原画が展示されていた。で、こちらを先に見てから、常設展示に移る。展示内容は特に変わっていないようだけど、相変わらずの充実した内容。特に、クマ送りや仮面、シャマンの衣装、神像のような木像等、精神世界のコーナーが興味深い。木像は、昨年夏の東北ツーリングの際に寄った碧祥寺で見たマタギの山の神の像に似ているなぁと感じた。あと、骨や牙製の彫刻もいい。
今日は、土曜日のせいか、館内には、それなりの人がいる。前回来た時は貸切だったような気がするけど、平日だったかな。
最後に「Northern Peoples」という北方民族を知るための小冊子を購入して、博物館から出る。やっぱり、ここは、見る甲斐があった。

外に出ると、春のような穏やかな天気。ポカポカして、ジャケットは要らないくらい。

北方民族博物館の木像
北方民族博物館の木像。削り掛けを巻いている

博物館は、天都山という小高い丘の上にあるので、道は下りになる。途中、オホーツク流氷館という施設があり、屋上には、たくさんの人が海の方向を眺めている。観光バスも、たくさん停まっていた。

能取岬への途中、能取湖の脇を通る。網走湖同様、言われなければ、ただの真っ白い平原。運転手によると、4月の中旬くらいは、この道路の両側は、潮干狩りの路駐の車で一杯になるという。この辺りの人にとって、春を告げる風物詩なのだろうか。
車を停めてもらって、湖面に降りてみる。意外と雪が深い。空は真っ青で、眩しくて、目が開けられない。デジカメの液晶モニタもよく見えないので、露出を適当に変えた写真を何枚か撮って、先に進む。

能取湖
能取湖

海が見えてきた。というか、正確に言うと、流氷に埋められた海が見えてきた。見える範囲は、沖の方まで、ほとんど、白い流氷が覆っていて、その一部が切れて、青い海が覗いている。昨日はびっしり氷に覆われていたらしいが、これくらい、切れていた方がいいと言う。確かに、これは、昨年とは全然違う。また、海岸近くを見ると、流氷が盛り上がっているのが分かる。沖から次々と押されてこうなるらしいが、これだけの塊を見たのは初めてかもしれない。で、知床の方はもっとすごい、免許証があればねぇって、もう、それは言ってくれるなー
能取岬の直前で、また、車を停めてもらう。ここは、この海に向かって飛び込んでいくような道路がいいんだよね。

能取岬 能取岬に通じる道
能取岬 能取岬に通じる道

岬の駐車場は、思った以上の車が停まっていた。これだけ、いい天気で、流氷もよければ、まぁ、そんなものか。
岬周辺を一人でゆっくり散策する。ほとんど、風がなく、ポカポカ陽気。雄大な流氷の景色を前にして、のんびり歩くのは気持ちがいい。どれも似たような写真になってしまうのだろうけど、何度もシャッターを押してしまう。それにしても、やっぱり、一人は気楽でいいな。いくら客とはいえ、運転手には気を使ってしまうもんなぁ。
結局、30分程、ぶらぶらしてから、駐車場に戻ると、停まっている車が増えて、人も多くなっている。海を見ると、気のせいか、青い海の部分が広がっている気がした。運転手によると、明日は流氷は沖にいってしまうかも、今日は最高のコンディションとのことだった。

能取岬
能取岬(3枚の写真を合成しています。ちょっと、歪んでますな)

帰り道、網走の市街に近づくと、ここにも、流氷が入ってきている。 この辺りの海は前浜というらしいが、こんなのも珍しいらしい。

市街に入って、寿司を食べられる店の前で降ろしてもらう。時間は1時前。
店に入ると、結構、賑わっている。カウンターに座り、まづは、生ビール。車が運転できない分、のんじゃうもんね。突き出しを食べると、海の濃厚な香りに加えてまったりとした味わいが尾を引く。何か分からないので聞いてみると、エビの頭の塩辛とのこと。なるほどねぇ、これだけで、日本酒が2合くらいいけそう。が、まだ動き回るので、日本酒は控えて、ビールをもう一杯たのむ。店内は意外と混んでいるが、観光客よりは、地元の人が会合のような感じで使っているのが多いみたい。寿司は、握りのセットに追加を少し食べて店を出る。おーろら号が出る港までのバスの時間が迫っていたので、あっさりと30分程で済ました。
店は飲み屋街の中にあったのだが、バス停までの途中、スナックらしき店からカラオケの歌声が聞こえた。こんな昼からカラオケなのだろうか。

バスに乗り、港に着くと、観光バスがずらりと並んでいた。で、ターミナルの建物の中は、人でごった返している。うへっ、なんか、乗りたくないなぁ。でも、予約のときにお金を払っているので、おとなしく、列に並ぶ。
ようやく船に乗り込み、デッキで眺める場所を確保。船内は家族連れが多い。
出航してしばらくするとカモメが寄ってきた。エサをもらいに来たのだが、船と同じスピードで飛んでいるのが、空中に静止しているようでおもしろい。
で、肝心の流氷は、まぁ、こんなもんかなという感じ。前回と比べてどうかも分からない。ただ、流氷の向こうに幽かに浮かび上がる斜里岳は雄大だった。あと、やっぱり、今日は暖かくて、前回は寒くてしばらくするとデッキから人が減ったが、今回はそんなことはなかった。まぁ、以前、多分、1回で十分だろうなと思ったけど、その通りでした。でも、1回は乗ってみた方がいい。
ちなみに、その晩、宿のご主人も同じことを言っていた。

おーろら号 おーろら号からの斜里岳
おーろら号からの流氷 おーろら号に留まっていたカモメ

船を降りると、そそくさと、網走駅行きのバスに乗る。が、まだ、電車まで時間があるので、途中で降りて歩くことにする。
網走の商店街は、ご他聞に漏れず、シャッターが閉まっている店が多い。人も少なく、閑散としている。確か、7年前に来た時は、商店街に本屋があったのだが見当たらない。北海道に多い、スーパーのラルズがあったので入ってみると、店内も人は多くはなかった。侘しさを感じながら、トボトボと、駅に向かう。

駅近くのコンビニでサッポロ・クラシックとつまみとお茶を買ってから、電車に乗り込む。席は、海側を確保できた。これから、2時間半程の電車旅だ。車内は、観光客と地元の人が半分づつくらい。
出発して、しばらくすると、流氷に覆われた海が見えてきた。地元らしくないおばさんが近くに一人で座っているのだが、地元らしき人に、あれが流氷ですかというようなとぼけたことを聞いていた。

時間がたつに連れて、流氷が、うす赤く、夕日に染まっていく。ビールをのみつつ、ぼんやり、眺める。車内には帰宅中の女子高生が乗っているのだが、これが、かしましい。流氷なんか関係なく、喋りまくっている。まぁ、毎日見ていれば、こんなもんだよね。

車窓からの流氷
車窓からの流氷。うす赤く染まっている

1時間程で、知床斜里駅に到着。車内アナウンスによると、ここに20分以上停まるらしいので、ホームに出てみる。と、なぜか、ホームには、観光用なのか実用なのか、魚が干してあった。
もう、辺りは薄暗くなり始めていて、街には灯りが点いている。とはいえ、ホームから見える範囲には、ほとんど人がおらず、寂し気だ。世界遺産になった知床の観光客を狙っているのだろうか、駅前には大きなホテルができていた。が、客室には、人の気配があまりない。

夕陽が斜里岳に当たり、一部が赤白く光っているのが見える。空は紫がかったオレンジ色で、山がぼんやりと浮き上がっている。何気ないんだけど、道東の景観というのは、いちいち、雄大だよな。斜里岳は、それ程、メジャーな山ではないけど、この辺りまで来ると存在感がある。一度、登ってみたい。

夕闇もせまり、辺りは寂しい限りなのだが、なんだか、立ち去り難い。でも、仕方がない、そろそろ、車内に戻ろう。

知床斜里駅の干し魚 知床斜里駅からの斜里岳
知床斜里駅の干し魚。後ろの車両は、流氷ノロッコ号 知床斜里駅からの斜里岳

電車が再び出発してしばらくたつと、とっぷりと日が暮れた。途中の駅では、観光客や地元の人が、一人二人と降りていく。みんなどこに行くのかなぁとぼんやり考える。
窓ガラスには車内の明かりが反射して、外はよく見えない。が、時々、家の明かりは見える。この時間だと、晩ご飯の用意でもしているのだろうか。自分が、その家で生活していることを空想してみる...

電車は、知床斜里から1両になっていて、車内は、二人掛けのシートに一人という割合で、適度に埋まっている。一人旅の夕暮れ時のローカル線は、寂しいような、解放されたような、孤独なような複雑な心境になる。が、それを味わうのも、また、いい。オートバイだと、運転をしないといけないので、自分の感情に浸りきるのは難しい。

自分の反対側の席に座っているおばさんは、地元のようだが、編み物のようなことをやっている。知床斜里から乗ってきた斜め向かいのおじさんは、大きな荷物を持っていて、仕事帰りのようだ。ビールをのみながら、文藝春秋を読んでいる。川湯温泉の手前で、3本目が開いた。1本目だけエビスというのが、よく分かる。酒が好きなんだろうなぁ。なんか、幸せそう。

6時半過ぎに、摩周駅に到着。自分以外にも、観光客と思しき2人が降りた。
駅前には、ご主人が迎えに来てくれていた。免許証を忘れた事情を話すと、そうかと思ったというような話で、時々、あるのだろう。
宿に到着して、何気に空を見上げると、星がきれいに見える。が、この季節にこれだけ見えるのは珍しいらしい。

日本酒の上喜元と四季桜を持ってきたので、ご主人にものんでもらいながら晩ご飯を食べて、その後、もう一度、外に出て、星を眺める。星の明かりで空が白っぽく見えて、そのせいか、天の川までは見えない。
星を見ている間、近くを走っている国道243号から、時々、車が走る音が聞こえる。思った以上に交通量があるのが意外だ。

さて、今朝は早起きだったので、早めに寝よう。今日と明日の宿泊客は自分しかいないらしく、相部屋が貸切だ。

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