BMW R1150GSで行くツーリング

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BMW R1150GSで行く秋の甲府
【10月23日(日)】
オートバイにはいい季節なんだけど、今週末の天気はイマイチ。それでも、久しぶりに、仕事のことを考えなくていい週末なので、オートバイで出掛けたい。予報は日曜日の午後から晴れとのこと。であれば、近場にでも行こうということで、10時過ぎに、駐車場を出発。目的があって、甲府へと向かう。
都内は曇り空で、本当に晴れるのかというくらい雲が多い。それでも、中央道に入ると、進行方向に青空が見えてきた。
日曜日なので渋滞も無く、順調に甲府盆地に入り、ひとつ目の目的地の釈迦堂パーキングに入る。パーキング内には、釈迦堂遺跡博物館の案内があって、特別展「謎を秘めた器 〜有孔鍔付土器の世界〜」を開催中とのこと。先々週も来たばかりだけど、 \200ならば、観て行こうか。が、その前に、別の目的があるので、パーキングの外に出て、中央道に架かる橋を渡る。そして、上り車線の側道を歩くと、辺りは果樹園になっていて、狭い範囲に、キーウィ、栗、葡萄の畑があった。豊かな土地ですな。
上り車線側のパーキングの前を通り過ぎると、右前方に、こんもりとした杜を発見。ここかなと思い、畑の間の狭い歩道に入り込む。すると、小さな杜の中には小さな御堂があった。格子戸から中を覗き込むと、お釈迦様の隣に石棒が祀られている。意外と簡単に辿り着いてしまった。
この石棒は、以前に釈迦堂遺跡博物館に来た時に知ったもの。館内に釈迦堂の名前の由来に関する貼紙があって、そこに出ていたのが、この石棒。その貼紙にはこうあった。

「...隣の字三口神平(さんこうじんだいら)という地名と関係があると思います。この地は釈迦堂遺跡最大の縄文中期の集落が発見されたところです。
さて、この三口神平という地名は、「ミシャクジ」という古い地神に由来するといわれ、甲府盆地から長野県地域に「御社宮司・御社宮寺・御作神・山宮神・産宮神・三口神」などの字があてられ地名として多く残っています。この神の名前は、「サク」神であり、縄文時代にまで遡ると考えられていますが、石棒や丸石、奇岩、大木などに降りるとされ、集落の特別の場所に石棒が立てられたり、丸石が祀られたものと思われます。釈迦堂の杜に石棒が祀られているのは、まさにその場所が「ミシャクジ」が祀られた聖なる場所だった可能性が高いと考えられます。...この「ミシャクジ」の「シャク」が転訛して「シャカ」となり、「釈迦」の字があてられ、後に釈迦像と釈迦堂が安置されたものと考えられます。...」

一見、何ということもないこの石棒が、縄文時代にまで遡るといわれるミシャクジ神の痕跡ということなのだ。そして、隣のお釈迦様は、その後、付近の後背の山々に興隆した山岳寺院と関連があるらしい。
縄文遺跡のある場所は、後代の聖地となっていることが多い。例えば、代々木八幡宮の中にも縄文遺跡があって、境内に復元住居が建っている。多分、ある場所を聖地と感じる感覚は、縄文人から現代人まで変わっていなくて、縄文人は、後の人々が聖地とした場所に住処を定めた。というのも、縄文人は、生者の世界と死者の世界の分け隔てをしなかったので、後の世代には聖地とされる場所で日常生活を営んだのだ。お釈迦様と石棒とが並んで祀られているのは、そういうわけで、同じ聖地に、時代が異なる神が祀られているということらしい。
確かに、この辺りは、甲府盆地から立ち上がってくる裾野にあって、眼下の甲府盆地の眺望がいいし、その向こうには、南アルプスも見える。金生遺跡もそうだったけど、自分が縄文遺跡を訪れるのが好きな理由のひとつが、そのロケーションの気持ちよさ。大抵の場所が、テントを張りたくなるような場所。今日は青空も広がっていて、眼下が広々と気持ちいい。まぁ、今日は、湿度が高いので、山並みは雲が掛かっていて隠れているけど。
帰り際に、釈迦堂遺跡博物館に立ち寄る。2階の常設展示は先々週に観ているのでパスして、1階の特別展だけを観覧。有孔鍔付土器というのは、文字通り、土器の口に鍔が付いていて、その周りに、穴が幾つも開いているものを言う。が、それだけではなくて、一番の特徴は、その側面に異様といってもいいくらいの人様のかたどりがあるものが多いこと。今回の展示も人型という点でバラエティのある土器が集められていて、眺めていると飽きない。この土器の用途に関しては種々の説があって、定説はまだないらしい。ただ、現代人には造型不可能と思われる独特な感性で造られた人型を見ていると、何か宗教的・呪術的な目的があったのは間違いないと思う。
それにしても、撮影禁止なのが惜しいなぁ。

釈迦堂の杜近くのキーウィ畑

釈迦堂の杜近くの栗畑

釈迦堂の杜近くの葡萄畑

釈迦堂の杜
こじんまりとした釈迦堂の杜。上り車線側サービスエリアのすぐ近く

釈迦堂の石棒
右が件の石棒

釈迦堂の杜近くから見下ろす甲府盆地
ちょっと湿度は高いけど、青空が広がる

山梨県立考古博物館
山梨県立考古博物館

山梨県立考古博物館の縄文土器
これは常設展の展示品

さて、次の目的地に向かおう。今日は、蒸し暑いくらいで、ジャケットを着たくない感じだけど、仕方が無い。
走り出すと、どこからか、カメムシの臭いがしてくる。パーキングに入る前から気になっていたのは、オートバイのどこかにぶつかって潰れているのか。秋ですな、なんて思っていると、次の目的地はすぐで、間もなく、甲府南インターを降りて、山梨県立考古博物館に到着。昨年来た時は、たまたま、閉館してたんだけど、今は、特別展として「縄文土器名宝展」を開催中で、これがふたつ目の目的なのだ。それにしても、最近のツーリングは、縄文ツーリングという感じだな。
常設展と合わせて\640と結構な金額を払って中に入ると、いきなり、大きな火焔型土器の、サプライズな演出。その次も、大型でゴージャスな水煙文土器、焼町土器が続く。その後は、落ち着いて、形式毎に、縄文土器の「銘品」が並ぶという構成。展示のコンセプトは、芸術作品として観た縄文土器ということみたいだけど、よくこれだけ揃えたなというくらい、土器が続く。
そんな色々の形式の中で、自分が気に入ったのは、理由はよく分からないんだけど何故か周りに異次元的な空間を造り出している気配の藤内式土器。あと、展示室の中央に独立して展示されていた阿玉台式土器がよかった。阿玉台式とは、土器の口の部分にひらひらとした装飾があるのが特徴らしいけど、そのひらひらの形が独特な立体なのだ。何というか、四次元的というか、表を歩いているといつの間にか裏を歩いてしまっているメビウスの帯みたいというか、現代人にはまづ造れない・造ろうとは思わない不思議な形をしている。是非、アップで写真を撮りたい。が、ここも撮影禁止。何で、日本の美術館や博物館は撮影禁止のところが多いんだろう。ルーブル美術館なんか、モナリザだって、みんな写真をバシバシ撮っているのに。
その後、常設展も観て、本日のミッション完了。外に出ると、秋の優しい陽が射している。庭には色付いている樹もあるけど、紅葉というには、まだ、少し早いかな。時間は2時過ぎ。このまま、中央道で帰ってもつまらないので、久し振りに、富士五湖の辺りを走って、東名高速経由で帰ろう。紅葉はどうかな。
そして、国道358号線で高度を上げ、精進湖に到着。途中、寄り道をしたりしても紅葉はまだという感じで、加えて、日曜日ということもあり、とろとろしている車が多かった。で、湖畔に出て写真を撮ろうと思っても、肝心の富士山は、大部分が雲に隠れている。紅葉も、見上げた山の上の方は色付いているけど、周囲はまだというところで、何とも被写体がない。取り敢えず、写真を何枚か撮って、出発。
河口湖方面に向かって樹海の中を走る。沿道には鮮やかに色付いている樹が所々に見える。その向こうには、雲が動いたのか、いつの間にか富士山が姿を現している。ならば写真をと思い、適当に枝道に入るけど、いい場所がない。こんなところに牧場があるんだなんてちょっと意外なこともありながら、次に入った道は富士宮鳴沢線という道路。周囲の樹海が道路に迫り、トンネルのように被さっていて気持ちがいい。路面も整備されている。
しばらくの間、太陽は雲に隠れていたけど、雲が切れると、正面の景色が鮮やかに浮かび上がった。昨日の雨のせいか、水蒸気が太陽に照らされて、空間が奇妙な奥行きを持っている。そして、道路の上の樹々の、新緑のように明るい緑と紅葉した葉が透明に輝き出す。が、進行方向の太陽が強烈に輝いて、正面を見ることができない。視線を脇に逸らすと、道の両側には真っ黒い森が広がっている。日差しが強すぎて、視力の調整ができないらしい。そして、直射日光と木陰の黒が交互に明滅して、何だか、気が遠くなりそうな妖し気な感じ。あー、このシーンを写真で切り取りたい。だけど、道の両側は濡れた落葉が積もっていて、タイヤを載せたらあっという間に滑りそう。仕方なく、しばらく先に進んでからオートバイを停める。
が、さっきのシーンは、もう、ここにはない。太陽の方向や道路の状況、疾走感なんかが相俟ってのことらしい。それでも、落ち着いて辺りを見回すと、樹海の中に入っていく山道がある。場所柄、整備された遊歩道があるとは思えないけど、道ははっきりとついているので、少しだけ入り込んで、森の中の写真を撮る。道路は抜け道になっているようで、意外と交通量が多くてうるさい。が、森の中は別世界。足元には落葉がふかふかに積もり、秋の太陽が樹々の長い影を作っている。湿った感じの空気感も、ちょっと、異次元的。不思議な気配ではありながらも、それでも、平和な秋のひと時...
さて、このまま来た道を戻るのは退屈だなと思い、先に進んでみる。が、行きたい方向に抜けられる様子はなく、結局、おとなしく、道を戻ることに。
帰りは、太陽が路面を明るく照らしていた。順光のせいか、道の印象が全く違う。先程のような妖しい気配はなく、こちらは、景色というよりは、適度なワインディングを楽しむという感じ。
その後は、東富士五湖道路に入る。この道路からは、富士山が間近に見えるんだけど、そういえば、結局、富士山の写真を撮るのを忘れてた。もういいけどさ。富士山の裾野には、ススキが一面に広がっていて、日本ではないような眺め。でも、この辺りは、自衛隊の敷地じゃなかったかな。
そして、東名高速では20Km程の渋滞に巻き込まれ、駐車場に着いたのは6時半過ぎ。半日のショートツーリングだったけど、天気もよくて、いい気分転換になった。よし、明日から、仕事も頑張ろう(嘘)
精進湖畔からの富士山
精進湖畔からの富士山

富士宮鳴沢線の紅葉とBMW R1150GS
もう、さっきの景色ではない

富士宮鳴沢線沿いの森
湿った感じの空気感がいい

湿った空気と太陽光線
ここは別の場所だけど、さっきの景色の雰囲気はあるかな

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