BMW R1150GSで行くツーリング

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BMW R1150GSで行く晩秋の信州
【11月22日(土)】
影が長い。日の出の時間が遅くなってきたので、まだ、太陽が低い。光線も弱々しい感じだ。
7時を過ぎた首都高速を、中央道に向けて走っている。青空の下、進行方向に、雪を被った富士山が見える。空気は冷んやりして、ちょっと寒いけど、清々しい。
今日は、シーズン最後かなということで、日帰りで、信州に向かっている。
八王子を過ぎて、山間部に入っていくと、気温が下がってきたのだが、寒いと思いつつも、なんとなく、大月ジャンクションを過ぎて、初狩パーキングエリアまで来てしまった。
オートバイから降りると、膝から太腿にかけて、冷たくてじんじんと痺れていることに気がついた。震えが下半身から上がってくる。うー、寒っ。走っていると意外に感じなくても、降りると、くるんだよなぁ。こうなると、体の中から暖めたいので、トイレの後に、食堂へ。すると、おっ、桜海老のかき揚げそばがある。東名高速の沼津辺りのパーキングにはあるけど、こんなところにあるとは思わなかった。ということで、七味をたっぷりとかけて、ずるずると頂く。鼻水をたらしながら...
大分温まったけど、まだちょっと寒いので、缶コーヒーをのみながら、オートバイの近くで日向ぼっこ。風が吹くと寒いけど、時々なので、あまり気にならない。変温動物のように、じっと、太陽光線を吸収する。ウルトラセブンの気持ちが分かる気がするな...
このパーキングからは、富士山がよく見える。滅多に止まらないところなので、こんな眺めがあるとは知らなかった。
周りは、三連休初日の割には、人出はそこそこ多いという感じで、大混雑とまではいってない。
初狩パーキングエリアからの富士山
初狩パーキングエリアからの富士山
干し柿
干し柿が並ぶ

ほったらかし温泉からの富士山
ほったらかし温泉からの富士山

ほったらかし温泉の敷地内にあった紅葉
ほったらかし温泉の敷地内にあった紅葉

今日は、なんとなく、小淵沢インター近くの井戸尻考古館にでも行こうかと思いつつ出てきたのだが、走りながら、改めて、どうしようかと考える。寒いので、まづ、温泉にでも入ろうか。といっても、時間は、まだ、9時過ぎ。でも、確か、ほったらかし温泉が、早朝から開いている筈。前回は、あまりの人出で、入るのを諦めたのだが、この時間ならば、大丈夫でしょ。
笹子トンネルを抜けて、勝沼インターで降りる。国道20号線に出て、信号待ちをしていると、意外と暖かい。陽が出ているので、スピードを落とせば、こんなものなんだな。でも、まぁ、ここまで来たら、温泉に行ってみよう。
盆地の向こう側の斜面には、ほったらかし温泉の近くの大きなホテルが見える。それを目印に適当に走りながらも、真っ直ぐ行くのはつまらないので、地図を見て、甲府盆地の北側をぐるりと回る感じで、再び、盆地に出てくる県道経由で行くことに。途中、道に迷いながらも、目的の県道に入ると、すぐに、神社を発見。地図には、窪八幡神社とあるが、なかなかいい雰囲気。それでも、停まるのが面倒で、なんとなく、通り過ぎてしまった。
県道の沿線には、昔ながらの農村風景が続く。あちこちに柿が干してあるのだが、柿のオレンジ色が、青空に映える。うーん、いい景色ですなぁ。交通量が少ないので、のんびりと走る。
標識に従って、しばらく走っていると、見覚えのあるところまで来たので、記憶を辿りながら温泉へ。途中、道路工事をしていたけど、温泉の人気に合わせて、整備をしているのだろうか。
温泉の駐車場に着いたのは、10時過ぎ。さすがに、まだ、早いので、停めてある車も少ない。相変わらず、富士山の眺めがいいねと思いつつ、二つある風呂の内、この時間帯に開いている方の「あっちの湯」へ。
早速、露天に出ると、それでも、それなりの人がいた。湯に浸かると、少し、ぬるい感じ。もちろん、目の前には富士山。まぁ、温泉に入りながら、この眺めならば、それは、人気も出るわな。
結局、風呂に入っていたのは、30分程。のんびりとできるお湯だったけど、次が気になって、早めに出てしまった。これから、八ヶ岳高原ラインを経由して、井戸尻考古館へ向かおう。陽も高くなり、暖かい、いい日になった。
途中、富士山の写真を撮ったりしながら、盆地の北側の道路を使い、甲府盆地を抜ける。この辺りに来るのは、初めてかもしれない。途中、昇仙峡へと分かれる交差点があって、紅葉はどうなのかなと思ったが、タイミングがいいのであれば、それはそれで混んでいそうなので、そのまま、通り過ぎた。
最短距離を行ってもつまらないので、ツーリングマップルのおすすめルートになっている茅ヶ岳広域農道を選ぶ。しばらく、登り坂が続き、標高が上がっていく。途中に、公園があったので、トイレ休憩。公園といっても小さなものだけど、ちょっとした展望台もあるので、用が済んだ後、上がってみる。
この辺りは、中央道や国道20号線、JRの中央本線が走っている谷を挟んで東側の斜面に位置しているので、眺めがいい。特に、目の前には、南アルプスがどーんと聳えていて迫力がある。高峰には雪が見え、麓の山々は紅葉で色づいている。おっ、遠くには、富士山の姿も。こんなところからも見えるんだなぁ。
ところで、展望台の中に、「銀河鉄道と保阪嘉内」という長い説明書きがあった。読んでみると、この辺りから見える、韮崎の夜景の中を走る中央本線の列車が、まるで宮沢賢治の銀河鉄道のようだと書いてある。また、保阪嘉内というのはこの辺り出身の宮沢賢治の友人で、二人は盛岡高等農林学校で知り合い、寮で同室だったとのこと。公園の名前も、銀河鉄道展望公園となっている。ふーん、知らなかったなぁ。
ついでなので、近所をぶらぶら歩いてみる。と、近くに民家があって、そこの持ちものなのか、周りは、甲州らしく、ぶどう畑になっている。が、甲府近辺でもそうだったけど、ぶどうは、もう、枯れてしまっていて寂しい感じ。それでも、青空が広がっているので、気分はいい。ここでは、干し柿ではなくて、木になったままの柿のオレンジ色が、青空に映えている。
出発して、同じ道を先に進むと、前方に、雪を被った八ヶ岳が、大きく見えてきた。先程から、所々で見えてはいたのだが、近づいてきたので、雄大に感じられる。なので、どこかで写真をと思いつつ、うろうろしていると、八ヶ岳ではなくて、南アルプスの眺めがいいところに出たので、何枚かパチリ。西に向いた斜面で、周りは、段々畑が続いている。農作業中の人がいるが、沿道の様子からして、どうも、この辺りは大根が名物らしく、収穫中のようだ。
甲斐駒ケ岳
目の前に南アルプス。真ん中は、甲斐駒ケ岳

銀河鉄道展望公園近くのぶどう
ぶどうは、もう、枯れていた

BMW R1150GSと南アルプス
青空の下、南アルプスが聳える
紅葉
農道脇の林。黄金色に色づいていた
八ヶ岳高原ライン近くからの富士山
こんなところからも、富士山が見えた

八ヶ岳高原ライン近くの林
樹々は、もう、冬の気配

結局、その後も、八ヶ岳の写真は撮れないまま、清里へ通じる国道141号線に合流。高度はさらに上がって行き、段々、寒くなってきた。途中の気温表示板には8度とあったけど、寒さを比べると、今朝の中央道は5度以下だったということか。
しばらく走り、季節外れの観光地という感じで、もの寂しい清里駅を経由して、八ヶ岳高原ラインへ。この辺りの沿線の森は、もう、葉を落とした樹々が多く、冬の気配。一段と冷え込んでいる。といっても、ここから先は、小淵沢に向かって高度を下げていくので、寒さは気にしなくていいけど。
八ヶ岳高原ラインは、適度なコーナーが続く快走路。といっても、バスや、のろのろした観光の車が多い。走っていると、時々、大きな八ヶ岳が見えるが、写真を撮るのにいい場所が、なかなか無い。少し先の駐車場に止まってみたけれど、ちょうど、手前の山に遮られて八ヶ岳の輪郭が見えるだけ。むむむ...、出発。
葉を落とした森の中を射しこんでくる陽の光が、道路に、光と影の縞模様を写している。走っていると、めまいがするような感じで、冷たい空気と合わせて、晩秋を感じさせる。
しばらくすると、飛ばし屋らしいバイク2台に追いつかれた。なんかプレッシャーと思っていると、先に、林道のような分岐が見える。何でもいいから、写真を撮りたい気分なので、少し中に入り、オートバイを停める。
林道のすぐ先は開けているようで、行ってみると、予想外に、牧場があった。で、その向こうには、またまた、富士山が。へー、こんなところからも見えるんだなぁ。少し写真を撮ってから、道路の反対側にも道がついているので、今度はそちらへ。すると、野鳥の鳴き声がすごい。何か特別なところかと思うくらい、たくさんの鳥が鳴いている。でも、鳥の種類が全く分からないのが情けない...
道の上の方に、また、牧場がありそうなので、登り坂を歩いてみる。すると、向こう側から、歩いてくるおじさんがいて、すれ違い様に、「鳥ですか?」というようなことを聞かれた。こちらは、「ええまぁ」みたいな適当な返事をしておいたのだが、近くには、車が停まっていた記憶は無いし、民家なんて考えられない。牧場関係者という感じでもないし、どういう人だったのだろうか。
さて、こちらの牧場には、被写体らしきものはなし。中途半端な感じだけど、先に進もう。
小淵沢インターの近くまで来たのは2時過ぎ。まだ、昼ご飯を食べていなかったので、コンビニでサンドイッチをパクつき、その後、ちょっと迷いながらも、10分程で、井戸尻考古館に到着。井戸尻考古館は、周辺に多数ある縄文遺跡群−井戸尻遺跡群−の出土品を展示している。
早速、考古館に入ろうとすると、靴を脱いでスリッパで館内を歩くことになっていた。変わっているなと思いつつ、入館料を払って展示室に入る。最初は、想像していたより狭いかなと思ったのだが、置いてある土器をひとつひとつ見ていくと、全然、先に進まない。というもの、それぞれの土器には、いかにも象徴的な図像がかたどられていて、それぞれに深い意味があるように思わせる。誰が見たって、これは何なんだと思うのではないか。一体、縄文人は、これで、何を表そうとしていたのか。そこで、この考古館が素晴らしいのは、その解読としての縄文の図像学と言うべき解説が充実していること。考古館のホームページにその一端があるが、その図像学により、縄文人の世界観や宗教観等が明らかにされている。例えば、「蛇頭半人半蛙交会文深鉢」という長ったらしい名前の土器には、以下のような解説があった。ちなみに、先々月訪れた諏訪神社の御室の神事が引用されていて、偶然を感じてしまったものでもある。

「口縁に戴かれた環状の造形を巻くように、もしくはそれをのみこんだようにして鎌首をもたげる蛇。別な図像によってその環状文は蛙の胴、つまりは暗い月を表すとみられるから、この場合、蛇はよみがえった新月の光りにたとえられる。
新月を暗示する蛇は、常陸国風土記のヌカビコ・ヌカビメの話にみえる。ヌカビメの生んだ小さな蛇は一夜毎にたちまち生長してしまうのであった。この蛇が月と同一のものであることを指摘したのは、ドイツの日本学者ネリー・ナウマン。
それに類することが中世、諏訪神社の御室の神事で行われていた。記録によれば、御室とよばれる土室に旧暦12月23日の夜につくりものの小蛇3体を入れ、25日には萱の大蛇3体を入れ、これが三月卯日まで3ヶ月近く巣食うという。
細長くて鱗が光り、脱皮をくりかえして生長する蛇の生態が、三日月と同一視されたものだろう。」

こんな感じで、図像と解説を、ひとつづつ追いかけていると、とにかく、時間がかかる。そして、図像だけでなく、香炉形土器のように、現代人には創造できないのではないかと思わせるような斬新な造形の土器もある。最初は、写真も撮りながら見ていたのだが、そのうち、量が多いので諦めてしまった。とにかく、展示物の質と量は圧倒的。釈迦堂遺跡博物館も凄いと思ったけど、こちらは、さらに充実していて、なんだか、めまいがしそう。
とはいうものの、今日は、早めに帰りたかったので、見ていたのは、1時間弱。帰り際に、受付に置いてあった書籍を眺めて、その中の2冊を購入した。ひとつは、ここの展示解説図録で、館内の図像学の解説も掲載されているもの。もうひとつは、「甦る高原の縄文王国−井戸尻文化の世界性 」。こちらは、2002年に井戸尻考古館で開催された記念展の講演録集とのことだが、中沢新一と宮崎駿という有名人も出ていたので購入決定。ところで、先程から、どやどやと団体が来ていて、一人しかいない受付の人が案内に出てしまいそうなので、慌てて、お金を払うのだった。
外に出ると、来た時より、空気が冷たくなってきているのが分かる。辺りは、少し赤味を帯びてきて、夕暮れが近づいていることを知らせている。時間は、3時半頃。日が短くなった。特に、この辺りは、西側に南アルプスがあるので、日暮れが早そうだ。
考古館の周辺は、公園として整備されていて、その周りには、古きよき農村風景が広がっている。里山も紅葉していて、散歩でもするのにちょうどよさそう。が、今日は、時間切れ。隣にある歴史民俗資料館も、考古館の入館料で入れるのだが、今日は諦めよう。それにしても、ここの展示は充実していた。じっくり見ようとしたら、半日以上は必要な感じ。でも、そうであれば、美術館みたいに、イスがあればいいのに。あと、今日は、足元が寒かったので、スリッパではなくて靴のままでもいいとするか、暖房を充実させてほしいな。まぁ、それでも、とにかく、素晴らしい展示だった。また、来よう。
考古館の駐車場からも、富士山が見えた。今日、何度目だろうか。写真を撮っていると、改めて、冷たい空気が空から沈んでくるのが感じられる。しんしんと冷え込んでくる。そんな空を見上げると、飛行機が、真っ直ぐな軌跡を曳いていた。さぁ、帰るとするか。
小淵沢インターまでの途中、今日、ようやく、開けた場所で八ヶ岳を見ることができた。といっても、手前に中央道が走っているので、被写体にはならない。それでも、あの土器を創った縄文人も、このような景色を見ていたのかと思うと、何となく、感慨深いものがあるのであった。

蛇頭半人半蛙交会文深鉢
蛇頭半人半蛙交会文深鉢

香炉形土器
香炉形土器

井戸尻考古館周辺の農村風景
井戸尻考古館周辺の農村風景。いいですなぁ

BMW R1150GSと井戸尻考古館からの富士山
ここからも、富士山が見えました

真っ直ぐな飛行機の軌跡
真っ直ぐです

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