BMW R1150GSで行くツーリング

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BMW R1150GSで行く秋の信州
【9月23日(火)】
この祭日の天気予報は、久しぶりの晴れマーク。前日から、日帰りで走りに行こうと思っていたが、当日早朝の予報も問題無し。よし、それでは、信州に向かおう。で、駐車場を出発したのは、7時前。空気がカラッとして気持ちがいい。最近は、ジトジトと天気が悪い日が多くて、体がカビそうだったもんな。
中央道に入ると、青空の中に富士山が見える。いいねー
が、小仏トンネルを抜けると、辺りは、真っ白に。しかも、寒いっす。それでも、霧が出ているだけのようで、そのまま、走り続けると、再び、青空が見えてきた。休憩した談合坂サービスエリアでは、向かいの山に雲の様な霧が残っているだけ。
サービスエリアにはオートバイが多い。いい季節だもんなぁ。
ところが、笹子トンネルを抜けて、甲府盆地に出ると、雲が多くなってきた。そして、八ヶ岳パーキングエリアまで来ると、すっかり、曇り空に。むむむ...、話が違うじゃないか。が、携帯で天気予報を確認すると、特に、変わったところはない。これから、晴れてくるらしい。となると、今日は、最初に入笠山に登ろうと思っていたのだが、この天気では、急ぐ必要もなくなった。ということで、デジカメを持って、被写体の探索へ。すると、パーキングの外への通路があったので、出てみた。
辺りをぶらぶらしていると、なんだか、不思議な感じがしてくる。素樹文生の「旅々オートバイ」(新潮社)に、高速道路のバス停にオートバイを停めて、外に出るのが楽しいというようなことが書いてあったと思うが、その通り。いつもは、ひたすら走り抜けるだけの道のすぐ脇に、普通の世界があるのが意外な感じがするからだろうか。
結局、1時間程、遊んでしまった。
曼珠沙華
JR中央本線の上を流れている川
JR中央本線の上を川が流れていた
八ヶ岳パーキングエリア近くの池
こんなところに池があるとは知らなかった
キノコ たわわに実った稲
本宮一之御柱 諏訪インターを降りて、まづ、最初に向かったのは、諏訪大社上社の本宮。今回は、Esquireの特集にあった諏訪大社上社の本宮と前宮、そして、神長官守矢史料館を辿るのだ。
インターからの途中、こんな所にという場所に沢山の人がいて、何だろうと思ったら、学校の運動会。そういう季節だもんな。
本宮を歩いたのは午前中。観光客はパラパラという感じだけど、地元らしき人達の集団がいて、諏訪では、未だに、大社と生活の関係が深いのだろうか。
境内を歩くと、由緒ある神社に相応しく巨木が多い。もちろん、あの御柱も建っている。そして、境内のすぐ向こう側には、大きな木が立ち並んだ深い森。まるで、押し寄せてくるような勢い。神々しい感じもするこの森は、このまま、御神体の守屋山につながっている。祀られているのが、山や森に象徴される自然そのものだということがよく分かる。
諏訪大社上社の本宮
神さびた気配
諏訪大社上社の本宮
森が押し寄せてくる感じ
前宮への移動中、神長官守矢史料館を見つけたので、先に寄ってみる。「神長官守矢史料館」とは、どこで区切ればいいのか分からないような名称だが、神長官とは、諏訪大社上社の役職で、生神である大祝(おおほうり)の下に位置する筆頭神官のこと。そして、その役職は、代々、守矢家が継いできた。つまり、ここは、神長官たる守矢家の史料を展示している施設ということになる。
\100を払って中に入ると、まづ、壁から無数の獣の首が突き出しているのに目が行く。自分は、Esquireを読んで知っていたが、事前の知識無しで来ると、不気味で驚くのではないか。といっても、もちろん、人を驚かすためにあるのではなくて、これは、御頭祭という上社の神事の復元展示。これから、守矢家の性格がよく分かる。では、守矢家とは何なのか。史料館の説明を引用してみよう。

「今から千五・六百年前の昔大和朝廷の力が諏訪の地におよぶ前からいた土着部族の族長で洩矢神と呼ばれ現在の守屋山を神の山としていた しかし出雲より進攻した建御名方命(たけみなかたのかみ)に天竜川の戦に破れ建御名方命を諏訪明神として祭り自らは筆頭神官つまり神長(官)となった 中央勢力に破れたものの祭祀の実権を握り守屋山に座します神の声を聴いたり山から神を降ろしたりする力は守矢氏のみが明治維新の時まで持ち続けた」

そういうわけで、権力が、中央勢力と現地勢力の二重構造になってたところがポイント。この一帯は、非常に芸術性の高い土器を出土している縄文遺跡が無数にあるところでもあり、文化レベルは相当高いものがあったと想像される。もしくは、守矢家の呪力が、余程、強力だったのかもしれない。いずれにしろ、現地勢力が圧倒されることなく、祭祀の実権を持ったことにより、農耕文化前の縄文にまで通じる日本人の古層の精神を残すことになった。
御頭祭では、「鹿の生首七十五をはじめとする様々な動物と...植物を神に献じ、それを神人一体になって食べ響宴を催す...。」そして、「...この部分は明らかに狩猟儀礼といっていい。...諏訪大社は農耕以前の狩猟時代の原始的祭祀を色濃く伝えているのである。御室という竪穴住居といい鹿の生首を並べての狩猟祭祀といい、神長守矢が司る祭には遠い縄文時代のこだまが伝わっている。」(神長官守矢史料館のしおり)
ところで、意外だったのが、この復元展示の原資料が菅江真澄のスケッチだったこと。自分が行った時は、史料館の人が展示内容の説明をしてくれたのだが、その時に、菅江真澄という名前が出て、ちょっと、驚いてしまった。今年のゴールデンウィークの下北半島でもそうだったが、北東北では、菅江真澄の名前を聞くことはよくある。が、信州で出会うとは。なんか、因縁を感じるなぁ。
そして、ここのもうひとつの見所は、御頭御社宮司(おんとうミシャグチ)総社。ミシャグチとは、「樹や笹や石や生神・大祝に降りてくる精霊」(同上)であり、大和朝廷の力が呼ぶ前からの信仰対象だったらしい。中沢新一の「精霊の王」でも、シャグジと呼ばれる日本文化の最古層に属する神の痕跡として登場している。
が、神社の方は、何気ない小さな祠という感じで、こじんまりとしている。事前に知らなければ、見落としていただろう。とはいえ、絢爛豪華なのも似合わない。とすると、やっぱり、こういう、素朴なのが相応しいのかな。
この辺りは、小高くなっているので、振り返ると、諏訪盆地の街並が見渡せる。ビルが建ち、車が走っている。遠く縄文時代に繋がる神社とのギャップが不思議な感じ。
まだ、雲は多いが、青空が広がってきた。

神長官守矢史料館
神長官守矢史料館。近代的な建築

神長官守矢史料館の御頭祭の復元展示
御頭祭の復元展示

御頭御社宮司総社
御頭御社宮司総社

神長官邸のみさく神境内社叢
境内には栗がたくさん落ちていた

小袋石
小袋石
目の前にあるのは、小袋石と呼ばれる大きな岩。諏訪七石のひとつで、ミシャグチの寄り坐しであったもの。木というか草というか、とにかく、そういうものが生えていて、そのうちに、地面と見分けがつかなくなりそうな感じ。
この岩も、Esquireに載っていたのだが、詳細な場所までは説明が無かった。が、史料館にあったこの一帯の古図に、ざっくりとした位置が書かれていて、それらしき辺りを目指したら、発見。史料館の裏山で、オートバイを停めてから、山道を、数分、歩いたところにあった。
岩の隣には小さな祠があるのだが、その四方には短い柱が立っている。小袋石の下にある磯並社という小じんまりとした祠にも、先程の御頭御社宮司総社にも、柱が立っていた。ミシャグチは、柱が、相当、好きらしい。
近くでは、季節外れのセミが一匹、大きな声で鳴いている。
最後は、前宮になる。こちらは、御頭祭が行われる十間廊があるので、本宮より豪勢なのかと思っていたら、そんなことはなく、本宮より、素朴な感じ。御頭御社宮司総社と同じく、古層の精神を残している方が、外観は、シンプルなのかもしれない。
そして、そんな古代の精神に感じ入ったのが、御室社。現地の案内板にはこうあった。

「中世までは諏訪郡内の諸郷の奉仕によって半地下式の土室が造られ、現人神の大祝や神長官以下の神官が参篭し、蛇形の御体と称する大小のミシヤグジ神とともに「穴巣始」といって、冬ごもりをした遺跡地である。旧暦十二月二十二日に「御室入り」をして、翌年三月中旬寅日に御室が撤去されるまで、土室の中で神秘な祭祀が続行されたという。諏訪信仰の中では特殊神事として重要視されていたが、中世以降は惜しくも廃絶した。」

これを読んで、思い出したのが、ラスコーの洞窟。そこでは、宗教的祭儀が行われていたことを示す痕跡が発見されており、有名な壁画も、そういった儀式と関係しているとする説がある。御室の中でも、同様の祭儀が執り行われていたのだろうか。
ところで、御室の中の儀式も含め守矢家の秘法は、一子相伝の口伝えで伝承されてきた。が、明治の大変動で、絶えてしまったとのこと。惜しい話ではあるけれども、永遠の謎となると、増々、神秘的な感じがするな。
さて、時間は、昼過ぎ。入笠山に向かおう。
杖突峠に向かって、国道152号線に入る。この道路は、高速コーナーが続く快走路で、軽快にオートバイを走らせる。が、すぐに、車に追い付き、のろのろペースに。

十間廊
十間廊

前宮本殿
前宮本殿。見にくいが、白い幕に、梶の葉の神紋が見える

前宮の御柱
前宮の御柱。周りの瑞々しい緑と比べると骨のよう
御室社の祠
御室社の祠。すぐ裏が民家になっている
入笠牧場
牧場があるとは知らなかった
杖突峠を越えたところで、舗装林道のような細い道に入る。道路は、途中のゴルフ場まではいいのだが、そこを過ぎると、1.5車線となり、舗装の状態もよくない。おまけに、対向車も多いので、気が抜けない。で、少し走ると、千代田湖に出た。どこかに停まろうと思っていたら、あっという間に、通り過ぎてしまう程の小さな湖。湖畔にはキャンプ場があって、家族連れがピクニックをしている。青空も広がり、気持ちよさそう。
その後は、似たような状態の道が延々と続く。分岐も多く、道を間違えたのではないかと不安に思いつつ、先に進む。この辺りは林道が多くて、BAJAに乗っている時には、何度か来たことがある。が、道は全く憶えていない。地図も、道が細すぎて役に立たない。
引き返すのは面倒だなと思いつつ先に進んでいると、急に開けて、牧場に出た。おおっ、こんなところに、こんな景色があったのか。山の斜面の牧場の緑が、青空に映える。BAJAで来た時には通らなかったのかな。写真を撮って先に進む。
と、げっ、今度は、路上に牛が群がっている。困ったな、どうしよう。と思いつつも、写真を撮ったりして楽しんでいると、牛達が、それとなく、道を空けてくれたようで、オートバイが通れるだけのスペースができている。牛の間近を走るのはちょっと怖かったけど、そろそろと通らせてもらう。牛も人の気持ちが分かるのかな。まぁ、避けているだけか。ハハハ
入笠牧場のBMW R1150GS
青空が眩しい
入笠牧場の牛
何故か、一頭だけでいる牛が、じーっとこちらを眺める
入笠牧場のBMW R1150GS
爽快な景色
入笠牧場の牛達
牛達が道を空けてくれた
結局、無事、入笠山の登山口に到着。時間は、2時頃。今日は、早めに帰りたかったので、登るかどうかちょっと迷ったが、案内板に、頂上まで30分とあったので、登ることに。登山道は整備されているのだが、まっすぐ登っていく感じなので、坂がきつく、いきなり、バテ気味。とはいえ、所詮は、30分のコース。登山道脇の森が切れたなと思ったら頂上に出た。
うひゃー、これは凄い。360度の大パノラマ。何故か、頂上近辺だけ、木が生えていないのだ。空はすっかり晴れ上がり、青空が広がっている。太陽の輝きも強い。神社巡りをした後のせいか、景色が神々しく感じる。遠くには、富士山まで見えるけど、やはり、目の前に聳える八ヶ岳が大迫力。うーん、これは、参りました。僅か30分歩くだけで、こんな絶景があるとは。実際は、20分だったけど。
時間が遅いせいか、頂上には、2,3組の登山者がいるだけ。一組の老夫婦は、八ヶ岳の方向を向いて座って、弁当を食べている。あー、自分も、食べるものを持ってくれば、よかった。そういえば、昼ご飯を食べるのを忘れてたよ...
入笠山山頂
入笠山山頂
入笠山山頂からの八ヶ岳
八ヶ岳が聳える
(クリックすると大きな画像が開きます)
入笠山山頂からの眺め
360度の大パノラマなのです
山を降りて、国道20号線に入り、東京方面に向かう。少し走ると、そばドラの製造元の本店があるのだが、今日は休み。仕方なく、先に進み、道の駅で休憩。と、そこで、そばドラを発見。ブルーベリーは無かったけど、富士見限定版のそばの実入りがあったから、まぁ、いいか。
道の駅には、オートバイが多い。結局、絶好のツーリング日和になったもんな。時間は、そろそろ、4時。空は青く、日も高くて名残惜しい。が、帰るとしよう。
渋滞気味の中央道を抜けて、八王子料金所で、停車。走っている時から気になっていたのだが、バックミラーを覗くと、うろこ雲がきれいに夕焼けている。
今日は、本当に、空がきれいな日だった。
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