BMW R1150GSで行くツーリング

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BMW R1150GSで行くGWの東北キャンプツーリング
【5月4日(金)】
当日のルート(三崎公園キャンプ場〜相ノ沢キャンプ場)
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テントから顔を出すと、青空が広がっている。いい天気だ。二度寝をしていたのだが、田舎によくあるスピーカーからの放送で目が覚めた。丁度、7時。辺りを少し散歩する。海に出るとよく晴れているが、少し霞んでいる。磯には、何人か釣り人がいる。空気も穏やかで、のんびり。
サイトに戻ってきてから、撤収開始。朝露が降りた気配はなく、テントはパリパリに乾いている。爽やかな朝ですなぁ。
すぐ隣にハーレーのおじさんがテントを張っているのだが、オートバイのキャンプにしては大き目のイスにどっかりと座り、海を眺めている。昨日、キャンプ場に着いたときに、受付の人に今日はオートバイを乗り入れていいと言われたと教えてくれた人だ。結局、その後の会話はなかったけど、連泊なのだろうか。それにしても、あのサイズのイスだと、ゆっくりできてよさそう。コンパクトに収納できるのがあれば、自分も欲しいな。
結局、8時過ぎに出発。自分が、一番早かった。今日は、アスピーテラインを通って盛岡周辺か、十和田湖・奥入瀬辺りに行こうと思っている。が、決心がつかない。なので、とりあえず、大館を目指し、時間次第でどちらに行くかを決めよう。あと、その前に、大潟村に行きたい。確か、今の季節は、菜の花がきれいな筈だ。
国道に出る途中に並木がある。昨日も思ったのだが、ソメイヨシノの白と八重桜のピンク、新緑の萌木色が重なり合って、とても、きれい。瑞々しくて、春だなぁという感じ。すぐ近くには、芭蕉が歩いたらしい旧道があった。
国道7号線に出て、北に向かう。鳥海山は、雲が掛かっていて見えない。昨日も同じだったので、今回は、縁がなかった。
この辺りの田んぼは、水を張り終わったばかりで、田植えが間近という感じ。3月下旬に走った四国と比べると、1ヶ月以上、季節が遅い。
途中、飛の崩キャンプ場の様子をみるために、金浦港の脇を通過する。道路のすぐ脇が海になっていて、ちょっと独特な雰囲気がある港だ。キャンプ場の駐車場には、車が1,2台停まっていたが、オートバイはない。車も釣りか何かの可能性が高いので、昨日だったら、多分、貸切だったろう。駐車場を過ぎてすぐの辺りで、海岸から海を眺めているおじいさんを見掛けた。昨年の秋、ここでテントを張ったときに長々と話をした人のような感じもするが気のせいか。
国道が海際を走るようになると、所々、北に向かって、長大な砂浜が見える。スケールが大きい。この道路は何度も通ったことがあるが、こんな景色に気がついたのは始めて。なんでだろう。
途中、ゴミやらトイレの用事で、コンビニに停まる。景色を見たいというのもあったが、この辺りは、コンビニの駐車場からでも、なかなかの景色だ。風が強く、波が高い。
BMW R1150GSと朝の三崎公園キャンプ場
朝の三崎公園キャンプ場。
オートバイを乗り入れていいと言われたのは初めて

BMW R1150GSと三崎公園キャンプ場近くの並木
ソメイヨシノの白と八重桜のピンク、新緑の緑色が重なり合う

大潟村の菜の花
大潟村の菜の花。後ろの桜は、大分、葉桜になっている

BMW R1150GSと大潟村の菜の花
バックミラーに映る菜の花がきれい

途中、遅い車のせいでなかなかスピードが上がらなかったりするが、秋田市を通過。そこから先は、市内から郊外に向かう車で道路が少し混雑していた。
国道7号線を外れ、橋を渡り、八郎潟に入ると、道路が長い直線になる。おー、北海道のよう。いいねぇ。しばらく、ひたすら真っ直ぐ走っていると、道路の両側に黄色い色が見えてきた。菜の花だ。
小さな橋を渡ると、さらに菜の花が多くなった。と、同時に、花の匂いがしてくる。花の量が多いせいか、ちょっと、きついくらいだ。写真を撮るために、オートバイを停める。周りにも、同じような人がたくさんいて、道端にシートを敷いてお弁当を食べている人達までいる。それにしても、延々と続く菜の花は壮観。花の後ろには、こちらも延々と桜の木が並んでいる。もう、大分、葉桜になっているが、満開ならば黄色とピンクのコントラストがきれいそう。が、さっきから、風が強い。秋田市内を過ぎてから、空模様も怪しくなってきているので、携帯で天気予報をチェック。岩手県は曇りの予報なので、まぁ、大丈夫か。それでも、あまり、のんびりしている気にもならず、出発。
途中、菜の花祭りのようなイベントの会場があった。実は、何年か前に、このイベントに来たことがあって、それで、大潟村の菜の花を知っていた。が、もう、十分満喫したし、すごい人出なので、寄らずに通過する。
北上し、再び、国道7号線へ戻る。途中、秋田自動車道のインターがあったが、進行方向の能代方面は無料で開放していたので利用する。
終点で降り、国道7号線に戻る。能代市内をバイパスできたので、少し時間の節約になったかな。後は、大館まで、ひたすら、国道を辿る。所々、国道と並行して、高速道路の工事をしているが、採算が合うとは思えん。
こちらでも、やっぱり、時々、遅い車につかまり、なかなか、スピードが上がらなかったが、大館市内に近づいてきた。
もう、1時を過ぎている。昼ご飯を食べたいが、実は、目途がある。比内鶏の親子丼で有名な店がある筈だ。で、市内の中心部と思われるところを適当に走ったが見つからないので、大館駅に向かう。
駅前にはハチ公の銅像が立っていて、ちらほらいる観光客が写真を撮っていた。ハチ公は、大館市のキャラクターにもなっているようで、街中のあちこちにハチ公がいる。辺りは、閑散というかのんびりというか、いかにも昼の地方の駅前という感じがして、なかなかいい。タクシーの運転手がヒマそうにしている。
店については、駅の観光案内所で聞こうと思っていたが、市内の地図を見ると比内やという店があった。確か、こんな名前だったな。場所を憶えて、再び、出発。店は大通りに面していないので、少し迷ったが発見。と、思ったら、行列ができているよ。まぁ、でも、次回はいつか分からないので、並んで待とう。で、近くにオートバイを停めて店に戻ってくると、あら不思議、行列が消えている。カップルが待っているだけ。どうも、たまたま、団体が待っていただけで、店内に入った後らしい。ラッキー。というわけで、少し待っただけで、入店できた。
メニューを見ると、なんと、極め附という\2,000の親子丼がある。周りも、それを食べている人が結構いる。ちょっと高い気もするけど、まぁ、いいか。
待っている間は、地図を眺めて、今日の行き先を決める。明日帰る予定だけど、明後日がまだ休みなので、明日は、遅くなっても構わない。岩手県の北部は行ったことがないけど、さすがに、明日、十和田湖近辺から寄って、そのまま、東京に帰るには遠そう。奥入瀬の辺りも、まだ、新緑には早そうな気がする。なので、今日は、アスピーテライン経由で、以前から気になっていた相の沢キャンプ場だな。
先に、突き出しが来た。小鉢がいろいろあって豪華だけど、こんなにいらないなぁ。
さて、お待ちかねの親子丼登場。見た目は、まぁ、普通。一口食べると、鶏肉の炭火の香ばしさが口に広がる。うんまい。普通、地鶏って、コリコリして食感がしっかりしているものが多いけど、これは、ふわりとしてジューシー。しかも、しつこくない。確かに、これは、うまいっす。あー、ビールがほしいと思いながら、あっという間に食べてしまった。ところで、自分が食べている最中にお客さんが入ってきたが、昼の部は終わりということで断っていた。秋田の人は商売気がないよなぁ。
さて、満足、満足、出発しよう。途中、大館市内を抜ける辺りで、安藤昌益の墓の標識があった。安藤昌益は、八戸で町医をやっていた江戸時代の思想家で、同じく大館生まれの狩野亨吉に発見された。原始回帰的な農本主義を主張した独創的な人物なのだが、狩野亨吉が安藤昌益の著書「自然真営道」を手に入れる経緯がおもしろいのだ。この手の世界とは全く縁の無さそうな魚屋が絡んでいたりする偶然なのだが、その経緯は、司馬遼太郎の「街道をゆく 29 秋田県散歩、飛騨紀行」(朝日新聞社)で知った。その偶然がなかったら、安藤昌益の思想は、まだ、埋もれていたのかもしれない。
あと、ハチ公の生家という標識もあったな。犬も有名になると、生家があるらしい。
この辺りからキャンプ場までは、スーパーが無さそうなので、探していると、またもや、マックスバリュを発見。東北には、本当に、どこにでもある。比内鶏を買って鶏鍋にでもしようかなと思いつつ店内に入ると、地のものが全然ない。仕方がないので、辛うじて、比内鶏の薫製と、あとは、いつもの通り適当な惣菜、明日の朝ご飯を買う。日本酒を冷やすために、氷も手に入れた。
店の外に出てパッキングをしていて気がついたのだが、この店は夜の12時まで営業しているらしい。これだけ長い時間営業をして、しかも、確実に商品を揃えておくにはグローバルな調達経路を確保する必要があるのだろう。それで、地のものはないんだろうな。
大館駅前のハチ公
大館駅前のハチ公

大館 比内やの親子丼
親子丼

八幡平アスピーテラインからの眺め
八幡平アスピーテラインからの眺め。風が強い

BMW R1150GSと八幡平アスピーテラインの残雪
アスピーテラインの残雪。それ程高い壁ではない

スーパーを出たのは、3時近く。時間がないので、十和田インターから鹿角八幡平までは東北道を使う。国道341号線に入ると、少しづつ山に入っていく感じがする。しばらくすると、いきなり、ぼたぼたと雨が落ちてきた。うそー、想定外。雨粒が大きくて、すぐに濡れそう。空もどんよりと暗い。少し先に小屋付きのバス停があったので、オートバイを停める。最初に、リアバッグにカバーを被せて、カッパを出そうとすると、雨がやんできた。えー、それなら、降るなよな...。せっかくなので、辺りを観察すると、進行方向のバスは新玉川温泉行きで、1日6本。乗る人はどれくらいいるのだろうか。
進むと、だんだん、高度が上がってきた。道端に残雪が出てきて、水芭蕉も見える。
道路を左折し、アスピーテラインへ。同じ方向へ進む車が結構多い。曲がってすぐのところにガスが吹き出ている場所がある。辺りの草木が枯れていて、ちょっと怖い感じの雰囲気。でも、以前は、煙突一本からガスが噴き出しているだけだったが、少し整備されたような気がする。
残雪の量が一気に増えて、気温も下がってきた。
この道路沿いにはいい温泉がたくさんあるが、時間がないので、そのまま、走り続ける。木の背が低くなってきた。道の両側は雪の壁だが、すごいという程ではない。風が強くて、寒い。
頂上の少し手前の駐車場でオートバイを停める。霞んでいて晴れだか曇りだか分からないような天気だが、残雪に覆われた遠くの山が見える。この道路は何度か走っているが、いつも天気が悪かったような気がするので、新鮮だ。が、それにしても、風が強い。写真を撮りに駐車場の端に行くのが怖いぞ。
出発すると程なく頂上に来たが、人が多そうなので、そのまま通り過ぎる。さっきの景色でいいや。
ここから先、道路は下りになる。そのまま走り続けていると、目の前を走っていた車が、なんでもないところで、突然、停まった。なんだと思っていると、反対車線に入っていく。で、見えたのが、大きな岩。50cm以上はありそう。落石なんだろうけど、あんなのに直撃されたらやばいな。
アスピーテラインのこちら側からは岩手山が見える筈なのだが、見当たらない。駐車場に停まり、それらしき方角を眺めると、微かに影だけが見えた。晴れてはいるけど、景色全体が白く霞んでいる。
山を降りてからは、時間も遅いので、松尾八幡平インターから東北道に入る。時間は4時半過ぎ。
滝沢インターを降りてからは、県道でキャンプ場へ向かう。インターから県道へは、ちょっと複雑で、国道4号線に合流し、少し走って国道282号線に入ってすぐのところで、左折することになる。で、4号線から観光バスの後ろを走っていたのだが、なんと、このバスが県道に入っていく。県道は森間を走り、カーブが多い狭い道で抜かすことができない。悶々と走っていると、森の上に、時々、岩手山が見える。八幡平周辺とは違って、この辺りまで来ると、よく見える。夕暮れの太陽も、岩手山の隣に並んでいて、どこかで写真を撮りたいなぁと思っていると、農業用か何かの荷物満載のトラックが入ってきて、もう、全然、先に進まない感じ。今日はこういうことが多い...
イライラしながら走っていると、右手に、岩手山方向の視界が開けた。うひゃー、これは凄い。思わず、オートバイを停める。広大な裾野の先に岩手山が見える。少し霞んでいるけど、絵に描いたような均等の取れた構図。周辺の看板を見ると、この辺りは春子谷地という場所のようだ。いやー、それにしても、この景観は素晴らしい。この道路はよさそうという勘はあったのだが、そんな期待を遥かに越える景観だ。周辺は別荘地のようだが、それも納得のいい立地。
その後、10分もかからず、結局、5時半過ぎに相の沢キャンプ場に到着。キャンプ場の駐車場は閑散としているが、サイトと思われるところから車が出てきたので入っていくと、テントがたくさん張ってあり、結構な賑わい。ゆっくり進むと、基本的には林間のサイトなのだが、隣に牧場が広がっていた。この景色が素晴らしい。一目見て、ここに来てよかったと思った。なので、牧場との境辺りの空地を見つけてテントを張る。あと、今回は、せっかく、焚火台を持ってきたので、薪を拾っておく。近くに、幾らでも落ちているのだが、少し湿っている。雨が降ったのだろうか。
テントを張り終えた後は、来る途中に見掛けたお山の湯という温泉に向かう。ここからだと、網張温泉も遠くない。昨年の冬に網張温泉には来たので、お湯も眺めもいいのは知っているのだが、もう、くたびれた。近場で済ませたい。お山の湯は、オートバイならば数分の距離だ。
さくっとお湯に浸かり、自動販売機のビールを買って、6時半過ぎに、相の沢キャンプ場に戻る。
春子谷地からの岩手山
春子谷地からの岩手山。絵に描いたような岩手山の構図

相の沢キャンプ場隣の牧場
相の沢キャンプ場隣の牧場

BMW R1150GSと田代平高原
GSを手に入れた年に行った田代平高原。爽やかな風は今でも記憶に残っている

相の沢キャンプ場での焚火
やっぱり、焚火はいいですな

明るいうちにキャンプ場に戻ってくることができた。入口に案内板があるのだが、それによると、ここは、鞍掛山の登山口にもなっている。手軽そうなので、明日の朝、登ってみようかな。
早速、ビールを開ける。ふー、旨い。
いやー、それにしても、隣の牧場は、岩手らしい、いい景色。清々しくて、爽快。いい意味で、生活感がなく、「岩手」というよりは、「イワテ」という言葉の方が似合う。東北の中でも、この雰囲気はイワテ独特のもので、多分、高原や牧場が多いせいだと思う。例えば、ここからそれ程遠くない田代平高原も、そんな雰囲気を感じさせてくれる場所のひとつ。GSを手に入れた年の夏に訪れたが、高原の雄大な景観と爽やかな風は今でも印象に残っている。また、そこにある七時雨山荘で昼ご飯を食べたのだが、店内を吹き抜ける風は本当に心地よかった。
空がぼんやりとオレンジ色に染まっている。晴れてはいるのだが、霞んで、はっきりとした色合いにならない。真上を見ると、飛行機が、静かに移動している。航跡も何本か見える。丁度、飛行ルートになっているのだろうか。
比内鶏の薫製は、結構、うまい。鶏鍋は食べ損なったけど、まぁ、これでいいか。昨日手に入れた東北泉を開ける。
暗くなると、月が出てきた。ほぼ、満月だ。これだけ明るいと、星は無理そう。せっかく、焚火台を持ってきたので、組み立てて、火を起こす。ちろちろと燃える火を眺めながら、旨い酒をのむのは、つくづく、贅沢なことだと思う。
気分がよくなってきた頃、またもや、イスが崩れた。見ると、もう、直せそうもない。そんなに長い間使っているわけでもないのにな。仕方ないので、地べたに座り、焚火を眺める。
見上げると、雲がいい感じで月の前を横切り、見ていて飽きない。広い牧場がうっすらと照らされている。牧場の先には、明かりがちらほらあるだけ。なんだか、ちょっと、妖しい雰囲気。さっきから、テントのすぐ近くに立っている電柱が気になっている。牧場に電気を伝えているのか、普通の電柱よりは背が低い。こちらも月に照らされているのだが、改めて、じっと見ていると、なんだか、動き出しそうな気がしてくる。
宮沢賢治に「月夜のでんしんばしら」という作品がある。夜に、線路脇の電信柱が一斉に歩き出すという童話で、どこで見たのか憶えていないが、宮沢賢治自身が書いた電信柱の絵というものもある。それが、なんとも、幻想的で、記憶に残っているのだが、間近の電信柱も、まさに、その絵のように今にも動き出しそう。
元々、イワテは、人間に、そういう幻想的な何かを感じさせる自然を持っているのだと思う。が、自分のような凡人は、それには気がつかない。それを直接感じることができるのが詩人であり、宮沢賢治は、その最たるものだった。そして、凡人は、宮沢賢治の作り出したイメージを風景に重ねることによって、ようやく、イワテの自然を感じることができる。
イワテの自然は、ただ単に爽やかなだけではない深みを持っている。が、それは、詩人の感性を通して、初めて感じることができる。小学校の頃、自然の反対語は文化と聞いて驚いた記憶があるけど、両者は、そんな単純な関係ではない。相互に依存し合い、浸透し合っている。両者は、お互いが在って、初めて、存在し得る。
自分が童話の中に入り込んだような不思議な錯覚を憶えながら、酔った頭で、そんなことを、ぼんやりと思った。
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