BMW R1150GSで行くツーリング

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BMW R1150GSで行く初春の四国・中国ツーリング
【3月27日(火)】
当日のルート(宿毛〜広島市内)
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夜中に目が覚める。時間は3時過ぎ。何故か、目が冴えて眠れない。車の音はほとんどなく、聞こえるのは、隣の部屋の宿泊人の寝息だけ。とりとめもないことが頭をよぎる。これまでの仕事のこと、新しい仕事のこと、今日走るルートのこと、などなど...
結局、明るくなってきた頃にうとうとしただけで、もう一度、寝ることはできなかった。
洗面を済ませて、荷物をまとめて、そろそろ出ようかなという頃、窓から外を眺めると、げっ、雨が降っている。国道を走る車の量が増えてきた頃、路面が濡れているような音がしていたが、まさか、雨が降るとは。出発前の週間予報では、月曜日以降はずっと晴れだったので、全く気にしていなかった。
携帯で天気予報を見ると、高知、愛媛、広島と、今日走るつもりのところはどこも雨。あー、今回のメインのしまなみ海道が...
といっても、停滞するわけにもいかない。7時半頃、外に出て、パニアケースに荷物をしまってから、カッパを取出す。どこで着ようかなと辺りを見回すと、宿の前に、お遍路さん用の屋根付きの休憩所があるので、そこに移動。
あー、雨はやみそうもないなぁ。カッパを着ても、なかなか出発する気にならない。休憩所にノートが置いてあるので、中を眺める。さすが、年配の人が多いのか、きれいな字が多い。夕べ、宿のご主人も言っていたが、お遍路さんはいろいろなようで、ノートには、オカリナを吹きながら、おひねりだけで回っているという人の文章もあった。が、総じて、そろそろ高知県が終わりなのが残念という内容が多い。その気持ち分かるな。四国を回っていると、自然美と、いい意味での田舎らしさで、高知県がハイライトという気が強くする。
ところで、ノートには、時々、若者らしき文章もあるが、字が汚いのと、どうでもいい内容が多く、こちらは、どうにも、バカっぽい。
オートバイに戻ると、隣に置いてあった原付スクーターで、女の子が出発するところだった。昨日、晩ご飯を食べているときに、宿に戻ってきた娘だ。夕陽を見に行っていたらしい。この宿は、ライダー、お遍路さん、釣り人等の利用が多いと聞いたが、夕べは、まさに、パターン通りというわけだ。
少し話をすると、京都から来た学生で、1週間くらいで四国を回っているとのこと。雨にも関わらず、笑顔全開で、楽しそう。今日は、土佐方面へ向かうらしいが、カッパのフードの上から半帽のヘルメットを被っているのが、おかしい。でも、なんか、かわいいなぁ。若さって、いいね〜。
お遍路さん用の休憩所
お遍路さん用の休憩所。雨の日は、屋根があるのがありがたい
国道56号線沿いの海
国道56号線沿いの海。何かの養殖か、海の畑という感じ

国道378号線沿いの漁村
カメラのレンズも濡れる。
国道378号線沿いはこのような漁村が点在している

「風和里」の展望台からの景色
「風和里」の展望台からの景色。写真では分かりづらいが、砂浜にカモメがたくさんいる

途中、宿毛市街の手前で、少し先に出発した女の子を抜かした。原付で足下に荷物を置いての運転は大変そう。抜かし際に、左手で挨拶をすると、バックミラーの中に、手を上げている女の子が映る。こういうのは、オートバイならではで、いいね。元気が出てくる。
海岸沿いの国道56号線を、ひたすら、北上する。雨は、時折、強く降ってくる。左手に、時々、現れる海は、よく見ると透明度は高いのだが、曇り空と相まって、どんより模様。何かを養殖しているのだろうか、浮きのようなものが大量に浮いているが、まるで、海の畑のようだ。
道端に、昨日、足摺岬で声をかけてきたライダーを見掛ける。オートバイを、屋根付きのバス停に突っ込んで休んでいる。昨日は、どこでキャンプをしたのだろうか。
宇和島の市街に入るところで、少し渋滞。道が狭く、すり抜けができないので、停まって辺りを眺めていると、夫婦と思しきお遍路さんが、建物の軒下で座って休んでいる。お互い、雨の日は辛いですな。
宇和島市街を通り抜けて、コンビニで休憩。サンドイッチと缶コーヒーを、今度はこちらが軒下で食べる。普段は缶コーヒーを飲むことは滅多にないのだが、寒いので、暖かいものがほしい。
フリースを着込み、グローブを二重にして、出発。雨がやむ気配はない。進行方向の空もどんよりだ。
途中、海岸に沿って走る国道378号線に道を変えて、八幡浜を目指す。この道路は、漁村とちょっとした断崖路が交互に現れる1.5車線路。山側は、所々、みかん畑になっている。が、各漁村へはこの道しかアクセスがないので、意外と交通量は多い。天気がよければ、周辺は気持ちいい景観だろうが、今日は冴えない。ただ、海はきれいだ。
昼頃に、八幡浜市街を通過。ここから西に進めば、佐田岬がある。そこからは、九州行きのフェリーが出ていて、2〜3時間で行けるらしい。雨の中を走り疲れたので、九州に行ってフェリーの中で休もうかなとも考えたが、今回は、広島県を走るという目的があるので、考え直す。いかん、いかん。
八幡浜から松山までは、瀬戸内海沿いの道路と内陸を経由する道路がある。内陸の道を選べば、司馬遼太郎の「街道をゆく 14 南伊代・西土佐の道」(朝日文芸文庫)に出てくる大洲・内子を通ることになる。行ってみたい気もするが、雨で市内観光をする気にはならないので、海岸沿いの国道378号線を選ぶ。
地図によると、海岸までは、雨の中、くねくねの峠道を走ることになるので、やっかいだなと思っていたが、大規模なトンネルを通過すると、あっけなく瀬戸内海が見えた。今回持ってきたツーリングマップルは、前回来たときの99年の版なので、その間に完成したらしい。
相変わらず、雨は降り続けている。この辺りは、まだ、島も見えず、瀬戸内海に沿って走っているという感じはない。途中、二宮敬作記念公園という標識を発見。二宮敬作とは、愛媛県出身の蘭学者・医学者で、こちらも、街道をゆくに出ていた。この辺りの出身ということなのだろうが、停まる気がしない。
そろそろ、トイレに行きたくなってきた。雨の中を走ると、冷えるせいか、近くなって困る。
道の駅に入る。もう、1時近い。グローブを取ると、指先が長時間風呂に入ったみたいにシワシワになっている。左の手のひらも、あかぎれのようになって痛い。オートバイを降りて歩くと、ブーツの中が濡れて、ぐちゅぐちゅ言っている。ここまで、5時間程、ずっと、結構な勢いの雨の中を走ってきた。GSは、ボクサーエンジンの形状のおかげで、靴に直接雨が当たらないので、中まで濡れることはあまりないのだけど。
缶コーヒーを飲んで、一息ついてから、出発。カッパから水が染みてきていて、全体的に湿っぽく、寒い。
松山市内を通過後、またまた、「風和里」という道の駅でトイレ休憩。展望台から海を眺めると、小島が点在していて、風光明媚な感じ。が、いかんせん、どんよりとしている。砂浜にいるカモメも所在なさ気だ。
造船所に、巨大な船が見える。しまなみ海道の四国側の入口がある今治に近づいてきた。3時近いが、結局、ここまで、雨がやむことは一度もなかった。
さて、今治北インターから、しまなみ海道に入る。すると、すぐに、来島海峡大橋を渡るのだが、この橋が大きい。海面も遥か下で、東京のレインボーブリッジや横浜のベイブリッジが子供サイズに思える。
橋を渡ると、すぐに島の南側のインターを出て、大島の亀老山展望台に向かう。この天気では、真っ白な可能性が高いが、一番のビューポイントらしいので、チャレンジ。
が、標高が上がるに連れて、やっぱり、霧が出てきた。雨滴がついたシールド越しではよく見えないので、シールドを開けて走る。
展望台に到着すると、駐車場には、車が一台停まっているだけ。寂しい限り。やっぱり、ダメかなと思いつつ、雨が降っているので、ヘルメットを被ったまま、展望台まで歩く。で、上がると、おっ、見えるじゃん。橋の反対方向は本当に真っ白だが、橋は三分の二くらいは見えている。かなり、霧が出ているけど、霧の海に橋が架かっているよう。想像以上に標高があるので、晴れれば、橋を中心に、瀬戸内海を広く見下ろす形になり、絶景になるのは間違いない。が、今日のような景色も、これはこれで悪くないな。
展望台の柵には、カップルがつけたのであろう南京錠がたくさんついている。南京錠には、カップルの名前とか、「この幸せがいつまでも続きますように」みたいな一言が書いてある。ったく、こんなことで、願いが叶うわけねーじゃん。それは自分次第だぞと、おっさんは思うのであった。
島の北側のインターまでは、国道を走るが、特別、島っぽい感じはしない。島が大きいからだろう。
しまなみ海道に戻り、伯方・大島大橋、大三島橋、多々羅大橋を渡り、パーキングで休憩。また、トイレです。
橋には歩行者用の道路もあって、人が歩いていたり、おばちゃんがちゃりんこで走っていたりしたのが、ちょっと、不思議な感じだったな。
時間は4時。あー、くたびれた。小雨になってきたが、まだ、降っている。結局、8時間程、降られっぱなしだ。オートバイ置き場に屋根がついているのがありがたい。少し、のんびりする。
ここは、既に、広島県。今回の目標のひとつは、いつの間にか達成。あと、結局、大三島の大山祇神社には寄らなかった。びしょ濡れで、もう、停まるのが面倒だったよ。
さて、今夜はどうしよう。明日の夕方、福岡でオートバイを預けるので、なるべく、西に進んでおきたい。で、事前に調べておいた広島市内のビジネスホテルに電話で予約をした。
こうなれば、今夜中に広島市内へ到着すればいい。この点、ビジネスホテルは、キャンプや民宿と違って、気楽でいいな。
亀老山展望台からの来島海峡大橋
亀老山展望台からの来島海峡大橋。霧の海に架かっているよう

多々羅大橋
多々羅大橋

BMW R1150GSと岩子島の隧道
隧道の先には、別世界のような瀬戸内の景色が広がっていた

岩子島の海
海が本当にきれい

本線に戻り、生口橋と因島大橋を渡って、本州までは行かず、向島でインターを出る。この島から尾道まではフェリーが出ているので、乗ってみるのだ。少しでも、瀬戸内らしさを感じてみたい。
向島は、ほどほどの大きさの島なので、真っ直ぐ、フェリー乗り場には向かわず、海岸線の道路を経由する。しばらく走ると、赤い橋が見えてきた。岩子島へ渡る橋だ。ついでなので、行ってみよう。
地図を見ると、適当に走っていれば、ぐるっと回って、また、橋に出る筈だ。が、道は、ぎりぎり一車線のところもあり、道を間違えたかなと思うようなところもある。素堀りのような隧道もある。迷路のようだ。
二つ目の隧道に入った。中は真っ暗。対向車が来れば、オートバイでもすれ違いは不可能だ。
あっ!
隧道を抜けたところで、思わず声が出た。
あっ!おぉー、すごい!でも、なんだ、これは?けど、素晴らしい!
えっ、でも、ここはどこ?
普段は感じられない様々な感覚が、一斉に湧き上がってきた。
隧道の先には、箱庭のような美しい瀬戸内海の景色が広がっていたのだ。が、ただ、美しいだけではない。何か、別世界に来たような不思議な感覚。思わず、オートバイを停めて振り返った。真っ暗な隧道は、まだ、ある。本当に、別の世界に来たわけではなさそうだ。
エンジンを止めて、しばらく、辺りをぶらぶらして、自分の感覚を整理する。
隧道だ。隧道を抜けてきたことで、こんな不思議な感覚を持ったらしい。どうも、トンネルには、人間の心理上、境界のようなものを感じさせる効果があるようだ。
千と千尋の神隠し」でも、トンネルの先に、八百万の神の別世界が広がっていた。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」にも、似たような効果がある。神社の鳥居や寺の山門も、日常の世界と神聖な世界を分けて、浄域を際立たせることを狙っているように思われる。
それにしても、こんな経験は初めて。雨模様の霞がかった景観というのもあったのかもしれない。だとすると、雨に降られた甲斐もあったかな。
そのまま道なりに進むと海岸に出た。夏には海水浴客向けの店か何かになるらしい小屋がある。シーズンには、大勢の人が来るのだろうが、今は、誰もいない。雨は、まだ降っているが、大分、弱くなってきた。波は穏やかで、ちゃぷちゃぷと静かな波音をたてている。海が本当にきれいだ。沖には、瀬戸内の島々がおぼろに浮かんでいる。
はー、心地いいなぁ。地上の楽園とは、こういうところを言うのか...
橋を渡って、向島に戻ってきた。「別世界」からの途中、因島大橋が見えたけど、なかなか迫力があったな。
標識に沿って、フェリー乗り場に近づくと、車が列を作っている。先の方は、道路が曲がっているので見えないが、信号にしては、待ち時間が長い。スクーターは、すり抜けをしているが、このオートバイでは狭くて難しそう。
車が動きだした。角を曲がると、もう、目の前にフェリーがいた。車が、そのまま、乗り込んでいるので、自分も同じようにする。船は、車が10台ちょっとくらいで一杯の大きさだ。すぐに、船は出発。前の車のせいで先がよく見えないのだが、もう、目の前が尾道のようだ。お金はどうするんだろうと思っていると、誘導係のおじさんが一台づつ集金に回っている。のんびりしているので間に合わないんじゃないのと思っていると、ギリギリのタイミングで自分のところに来た。値段を聞くと\80円!が、もう、船が着岸しそう。急いで払って、エンジンをかける。オートバイは、小銭を払うのが大変なんだよー。
フェリーが岸に着いた。さっきのおじさんが、船首のロープを外すと、車がそのまま発進をする。で、おじさんが誘導をしてるのだが、これが、全然、捌けてない。でも、みんな、適当に船から出て行く。全然、問題なしという感じ。笑ってしまう。
尾道の街の雰囲気は、なかなかよさそう。広島市内ではなく、尾道に泊まればよかったかなと少し後悔したが、もう、仕方がない。先を急ごう。
海岸沿いの道路で広島市内に行こうと思っていたのだが、途中の分岐に気づかず、国道2号線を走ることになった。もう、雨はあがり、西の方向には夕陽が出ている。が、2号線はトラックが多く、楽しい道路ではないので、海岸沿いの国道185号線に向けて、道を変えた。
185号線に出て少しのところのパーキングに停まり、ようやく、カッパを脱ぐ。結局、10時間程、雨に降られ続けた。こんなのも珍しい。
東の空は、まだ、どんより曇っているが、西の空は夕焼けている。瀬戸内海は、静かに佇んでいる。ふー、あと、一息だ。
淡々と国道をこなした後、呉からは有料道路に入り、広島市内に向かう。が、この道路は、少し山の中を走っているせいか、寒い。気温表示板は11度とあった。
国道2号線に再び合流し、少し迷ったが、8時半頃にビジネスホテルに到着。
部屋に入ってシャワーを浴びた後は、晩ご飯を食べに街に繰り出す。予約したホテルは繁華街の近くで、お好み焼き屋もたくさんあるが、本場とはいっても、粉ものならば、まぁ、そんなに味は変わらないだろうと思い、のれんに瀬戸内料理とある店に入った。で、子イワシと夜鳴き貝の刺身、トラハゼの天ぷら、穴子丼を食べる。日本酒はイマイチだったけど、さすがに、魚はおいしかったです。
向島と尾道を結ぶフェリーの中
尾道へのフェリーの中。前の車が邪魔で先が見えないよぅ

パーキング「エデンの海」からの景色
瀬戸内の夕暮れ。ようやく雨がやんだ

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