BMW R1150GSで行くツーリング

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BMW R1150GSで行くGWの東北キャンプツーリング
【5月4日(木)その1】
テントから外に顔を出すと、快晴だ。気持ちがいい。今日は、念願の鳥海マリモを見に行くため、さっさと撤収をしよう。
このキャンプ場は、トイレが離れているため、散歩も兼ねて、デジカメを持って、トイレに行く。用を足して、のんびりと歩く。他にも散歩の人が何人かいる。海に出た。青い空と青い海が、清々しい。冬の荒々しさは、もう、全く感じられない。春の穏やかな海だ。辺りは、スイセンが満開で、緑の斜面に、点々と白い花が散っていた。
サイトに戻り、テントをしまって、朝ご飯の菓子パンを齧る。朝、コッヘルを使うと、洗って片付けるのに時間がかかるので、自分は、いつも、こんな感じに、朝ご飯は簡単に済ませている。
荷物を積んで、結局、出発は、8時過ぎになった。エンジンをかけて、クラッチをつなぐと、エンスト。あれれと思って、もう一度、セルを回すとエンジンがかからない。何回か回してもかからないので、一度、ヘルメットを脱ぐ。オートバイは、登り坂の上方向を向いている。エンジンがかかっても、また、エンストをするのが怖いので、向きを変える。こういう時は、こいつは、重いんだよなぁ。が、なんとか、立ちゴケせずに、方向転換完了。ドキドキしながら、もう一度、改めて、セルを回す。かかった!ゆっくりと確実にクラッチをつなぐ。走り出した。ふぅ、よかった。こんな所で、オートバイが動かなくなったら、今回のツーリングが台無しになってしまう。
三崎公園キャンプ場の朝
朝のキャンプ場
三崎公園から見た海
青い空、青い海
三崎公園のスイセン
スイセンが満開だった
雪の壁とBMW R1150GS
雪の壁。今年は相当な高さがあった

鳥海ブルーラインからの景色
鳥海山から眼下を眺む

今日は、まづ最初に、鳥海ブルーラインを走る。昨年走ったので、今年はそのつもりはなかったのだが、昨日寄った酒屋のご主人が、2,3日前に来て、雪の壁が9mあったと言っていたので見たくなったのだ。昨年の雪の壁は、正直、大したことなかったので、毎年、こんなものなのかなとも思っていたが、9mというのはすごいじゃないか。
少し、酒田方面に戻って、ブルーラインに入る。昨年とは逆方向に走ることになる。道は、ぐいぐいと高度を上げて行く。昨年は天気が悪く、風も強くて、心細い思いをしながら走っていたが、今年は、青空で気分がいい。一度、エンジンを止めると、かかるかどうか、不安はあるんだけど。
とろとろ走っている車に追いついてしまったが、景色を見たいので、ゆっくり、付いて行く。残雪が増えてきた。今年は、天気がよくて、日本海が絶景だ。
最高地点に近づくと、壮観な雪の壁があった。9mあるかどうかは分からないが、それくらいあってもおかしくない。見上げる感じで、昨年とは大違いだ。が、写真を撮るには、反対側の車線に停めた方がいいので、この道路の最高地点にある鉾立展望台でUターンをする。
オートバイを停めて見ると、雪の壁は、オーバーハング気味で、近づくと怖いくらいだった。一体、いつ頃、溶けてなくなるのだろうか。この塊を見ていると、夏を越してしまいそうな気がする。
道路脇の駐車帯は、スキーらしき人達の車が一杯でスペースがないが、なんとか、もう一度、Uターン。鉾立展望台には停まらないで、そのまま、ゆっくりと、下って行く。空が青い。眼下の水が入った田んぼが、鏡のように空を映している。
何台か、オートバイとすれ違ったが、思わず、ピースサインをしてしまう。この気持ちは、ライダーならではのものだろうね。
日本海まで降りきる前に、中島台レクリエーションの森に行くために、右折をする。鳥海マリモがある獅子ヶ鼻湿原は、この森の中にある。昨年は、ろくに調べもせずに来たために、行けなかった場所だ。
途中、鳥海山の絶景に出会った。水が入った田んぼの背景に、鳥海山がすっくと立っている。人の手が入った景色の中に見える山も、また、いい。人跡のない景色と比べると、ほっとする。
辺りを眺めていると、ぽかぽかして気持ちがいい。農家の人が、せっせと、田んぼの面倒をみている。時間も10時前。なんだか、オートバイに乗るのが面倒になってしまったよ。辺りをぶらぶらすると、たんぽぽやつくしを見つけた。あー、こういうものと戯れるのは、ひどく久しぶりな気がするなぁ。子供の頃は、そこら辺に生えていたんだけどねぇ。リタイアしたら、こういう場所に住んでみたいなぁ。
鳥海山
水が入った田んぼの向こうには鳥海山
鳥海山周辺のたんぽぽ
たんぽぽ。久しぶりに見た気がする
鳥海山周辺のつくし
どれかのつくしが指した先が、写真を撮った場所だったりする
中島台レクリエーションの森の入口の看板 「熊出没」
入り口の警告...

中島台レクリエーションの森のミズバショウ
ミズバショウ

中島台レクリエーションの森には、10分程で着いた。駐車場は、思ったより整備されている。車も、それなりに停まっているので、歩いている人も結構いそうだ。
入口にある管理棟の横には、熊出没の警告があった。しまった、熊除けの鈴を忘れた!と思っていると、熊除けの笛が幾つか管理棟の壁に掛かっていて、持って行っていいらしい。ありがたくお借りして、出発。
少し歩くとミズバショウがたくさん咲いていた。土色の地面に、明るい緑色の葉と白い花がきれいだ。その先に、案内図の看板があって、湿原の簡潔な説明がある。

「獅子ヶ鼻湿原は酸性・低温(pH4.3〜4.6、水温7.1〜7.3度)の大量の湧水に涵養され、多様な水性・湿生植物が生育しています。
特に、流水中およびその周辺に見られる苔類は、その質、量とも本邦の他地域に例が見られないばかりか、希産種3種(ヒラウロコゴケ、ハンデルソロイゴケ、ヤマトヤハズゴケ)を含んでおり、同湿原26.11haは、国の天然記念物に指定されています。」

1周の所要時間が2時間20分とのことで、丁度いい距離だ。1周しよう。
段々、残雪が増えてきた。が、木道の上を歩けば、問題ない。周りのブナには、早くも、独特な形をしているものがある。この形の最たるものが、この先にあるはずの「あがりこ大王」と呼ばれているブナだ。
歩いていると、橋があった。川は、結構な水量で、白く濁っている。雪解けの水が入っているのだろう。橋は木製で、落ちても死ぬことはないだろうけど、簡素なものなので、ちょっと緊張する。
橋の先は、残雪が一面に残っていた。木道も見えないので、どこが道なのか、よく分からない。足跡とたまにある案内が頼りだ。時々、先行している人に追いつくので、後を付いていったり、抜かしたりして先に進んだ。歩くたびに、雪がずぼっと沈んで歩きづらい。結構、くたびれる。喉が渇いてきた。そういえば、水を持ってくるのを忘れた...
しばらくすると、あがりこ大王方面との分岐に来た。周りは、あがりこ大王を見に行く人が多いようだが、先に、湿原に向かうことにする。

中島台レクリエーションの森の案内看板
中島台レクリエーションの森の案内看板
(クリックすると大きな画像が開きます)
中島台レクリエーションの森の残雪
残雪で、どこが道だかよく分からん
道が上り坂になって、少し行くと、ちょっとした尾根に出た。ここで道が分岐している。湿原を一周すると、また、ここに出るはずだ。
道を下ると、ちょっとした小川がある。が、橋が、雪で見えない。川の上を踏み抜くと落ちるので、おそるおそる、それらしい所を歩いて、なんとか、クリア。
前方に、何人か人がいるなと思っていると、渓流に出た。水の透明度が高く、とても、きれい。水量も豊富だ。思わず、手を入れると、それほど、冷たくない。入口近くの案内図にあったように、7度程あるので、冷たくないのだろう。掬って飲むと、喉が渇いていたこともあり、旨い、旨い。少し軟らかい感じがする。あー、ペットボトルを持ってくればよかった。残念。
一眼レフの本格的なカメラで写真を撮っている人がいるが、その気持ち分かるなぁ。本当に、きれいな水だ。
いつまでも眺めていたい気もするが、先に進むと、鳥海マリモの観察場所への案内があり、曲がると、すぐに着いた。そこにある看板には、鳥海マリモの説明があった。

「ハンデルソロイゴケとヒラウロコゴケが絡み合って球体状になったものが俗称として「鳥海マリモ」と呼ばれています。内部に古いからだを遺骸として残しながら、表層が成長を続けた結果が、球状となったといわれています。」

マリモと言えば阿寒湖を思い出すが、Wikipediaの「マリモ」の項によると、実は、生息地は日本中に点在しているらしい。ただし、ここは、その中には入っていないので、鳥海マリモというのは看板にある通りの俗称で、学術的にはマリモではないのかもしれない。
Wikipediaからリンクが張られているサイト「マリモ…その愛…」にマリモの詳しい説明がある。そこによると、マリモとは、毬状になった緑の「ボール」のことを言うのではなく、「ボール」を構成している小さな藻を指している言葉らしい。つまり、マリモとは、正確には、毬状の「ボール」を構成している小さな一個一個の藻(糸状体)の名称ということだ。
一方、鳥海マリモを構成しているのは、「〜ゴケ」とあるので、コケのようだ。また、藻とコケは学術的には別なもののようなので(Wikipedia「藻類」の項)、正確には、鳥海マリモはマリモではないということだろうか。あえて言えば、「マリゴケ」とでもなるのかな。
というような素人にはどーでもいい細かい話はここら辺にして、肝心の鳥海マリモだが、これが、見てもよく分からない。緑色のコケは見えるのだが、それが、岩に生えているただのコケなのか、球状になった「マリモ」なのか、遠くて分からないのだ。写真に写っている赤っぽい色は落葉なのだが、それが邪魔しているのもある。しばらく、じーっと目を凝らしても、やっぱり分からないので、緑色に見えるのが鳥海マリモということにしておこう。
遊歩道に戻ると、水路に沿って歩くことになる。少し行くと、辺りの湧水が集められて深い淵を作っているが、そこの水も、また、素晴らしくきれいだ。清らかという言葉が、まさに、ぴったり。透明度は相変わらずだが、水深があるせいか、独特な青色を呈している。この色を見るだけでも来る価値はある。
淵には水門があって、さらに水路を水が下って行く。下流に東北電力の施設があるらしいので、発電にでも使っているのだろうか。
しばらく水を眺めてから、先に進む。渓流からここまでは、雪は残っていなかったが、ここから先は、また、残雪の上を歩くことになる。途中、動物のフンが転がっていた。小さいので、熊のではない。
ざくざくと雪の上を歩く。ここまで来ると、周りに人は全くいない。一周までする人は、いないのだろうか。足跡とたまにある案内を頼りに進むが、しばらく案内が見つからないと、方向が間違っていないか不安になる。後ろを振り返ると、どの方向も同じように見える。迷ったら戻れないかもと思いながら、前に進む。なんだか、熊が出そうな気もしてきた。管理棟で借りた笛をたまに吹く。
ドキドキしながら歩いていると、池に出た。多分、出つぼだろう。ここは、水中にコケが生えていて、先程の青色とは違い緑色のイメージだ。本当に、この透明感は凄いのだが、今は、あまり心に余裕がない。水を一口掬って先に進む。
出つぼの先で見つけた案内の方向が、行こうと思っていた方向のイメージと違う。少し迷ったが、木道が案内と同じ方向に延びていたので、そちらに進む。ここら辺は、雪解けが少し早いのか、所々に木道が見えるので、方向が分かりやすい。しばらくすると、上り坂になってきた。もしやと思いながら進んでいると、予想通り、先程通った尾根の分岐に出た。ふぅー、迷わなくてよかった。ドキドキしてしまったよ。

獅子ヶ鼻湿原の湧水
透明度が高くて、きれい

獅子ヶ鼻湿原 鳥海マリモ
緑色に見えるのが鳥海マリモ(多分)

獅子ヶ鼻湿原の青い湧水
どうして、こんなに青いのだろう

獅子ヶ鼻湿原 出つぼ
出つぼ。こちらは、緑のイメージ

中島台レクリエーションの森 燭台
燭台

中島台レクリエーションの森 あがりこ大王
あがりこ大王。でかくて撮りきれましぇん

尾根を下って行くと、あがりこ大王方面に歩いている人が見える。出つぼの辺りには全然いなっかたのに、こちらは結構多い。家族連れもいる。そんな人達の後をダラダラと付いて行く。先程とは、緊張感が違う。
少し進むと、巨木があった。あがりこ大王かと思ったら、別の木で、「燭台」という名前の別のブナだった。文字通り、見た目が燭台に似ているからとのことだが、これでも、かなり大きい。上方向だけでなく、横方向への広がりが大きいので、余計、そう感じるのかもしれない。枝の分かれ方は、確かに異様。枝も瘤のようなものがあちこちにできていて、お世辞にもきれいとは言えないが、何か、いい知れぬ生命力というか、そういうものに裏打ちされた存在感がある。
先に行くと、道が上り坂になってきた。坂の上には、人がたくさんいる。あそこに、あがりこ大王がいるに違いないと思っていると、大きな木が見えてきた。背景には、木々の枝を通して鳥海山が見える。枝には、葉は、まだほとんど出ていない。
うーん、でかい。先程の燭台よりも二まわり程大きい感じだ。瘤のゴツゴツした感じが、さらに大きさを際立たせている。迫力がある。ちなみに、「あがりこ大王」とは、幹が上がったところで、子に分かれている形から名付けられたとのことだ。
このような奇形ブナの原因は、炭焼きのための伐採にあるらしい。途中に、炭焼き窯の遺構があったが、そこの案内の看板に以下の説明があった。

「この地域では、一度伐採したブナが萌芽し成長すると再び伐採(90年位のサイクル)しましたが、再度萌芽するように何本かは残して切ったことが明らかになっており、炭焼きがブナの奇形の原因との説がもっとも有力になっています。」

人間の与える困難にも関わらず、ねじれながらも天に限りなく伸びていこうとする姿は、まさに、生命力の象徴。昨日に続き、ここでも、縄文式土器の、あの燃え上がる装飾を思い出した。今度は、夏に来てみたい。緑色の葉を吹き出したブナは、さらなる生命力を感じさせてくれるような気がする。

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