BMW R1150GSで行くツーリング

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BMW R1150GSで行く初秋の東北キャンプツーリング
【9月19日(日)】
テントから顔を出すと、空はどんより曇っている。今にも雨が降り出しそうだ。昨日は少し飲み過ぎたが、それ程、残っていない。やっぱり、いい酒は違うなぁ。
雨が降り出す前に、急いで撤収を行う。林間のせいか、テントは、それ程、湿っていなかった。撤収後、携帯で天気予報を見ると、この辺りは午前中は雨。が、予想がいい方に変わっていて、仙台方面は午後から晴れるらしい。さて、今日はどうしようか。連休後半は崩れると思って帰るつもりだったのだが、いろいろと雑念が出てくる。
どうしようかと考えながら、辺りをぶらぶら散策。遊歩道を少し歩くと、海岸に出た。太平洋と険しい海岸が広がっている。波は荒く、磯に激しくぶつかり、白波を立てている。なまぬるい風が海から吹き付けてくる。足下の岩は、切れそうなくらい鋭く険しくて、水際まで降りることはできそうもない。それでも、夕べ騒いでいた家族連れのお父さんが釣りをしていた。家族が見守っていたが、水面までは遠くて、とても釣れるようには見えない。
その後も、ぶらぶら・だらだらして、9時近くなって、ようやく出発。とりあえず、海岸を南に向かって走ろう。今夜、どうするかは、また、後で決めればいいや。
今にも雨が降り出そうだが、カッパは着ないで出発。だって、面倒だもん。キャンプ場から3分も走ると御崎の港に出る。いきなり休憩。なんだか、走る気がしない。
三陸海岸
テント・サイトから遊歩道を少し歩くと、この景色
御崎の漁港でのBMW R1150GS
御崎の漁港。この直後、大雨が降ってきた
港で釣りをしているおじさんのバケツを見ると、イワシのような魚がたくさん入っている。見ている間にも釣れている。
水面を見ると、澄んでいて、底まで見える。自分が狙っているような根魚が釣れるとは思えないが、せっかく道具も持っているので準備を始める。で、何度か、堤防際にワームを落として誘うが当たりはなし。やっぱり、知床とは違うのかなぁと思っていると、ボツボツと大粒の雨が降ってきた。近くに東屋があるので、オートバイの荷物にカバーを被せた後、雨宿りをする。もう、動く気がしない。ビールでも飲んで、沈没したい感じ。
オートバイに乗っていると、天気が人間に及ぼす影響の大きさを思うことがよくある。普通、人間は、晴れれば気分はいいし、雨だと沈む。が、オートバイの場合、青空の下を走っていると天にも昇るような高揚感が突き上げてくる時があるし、雨だと天地を恨むほどに気分が低調になる時もある(もっとも、雨でもミョーにハイになる場合があるけど)。
経済の観点からすると、天候によって、いちいち生産量が変わっていたら効率が悪くて仕方がない。そこで、近代は、人間を自然のリズムから切り離し、人工的な「時計」のリズムで生活するように身体を変えてきた。これで、天候によらず一定の生産量が期待でき、計画というものを立てることができる。近代は、計画・実行・改善を繰り返し生産量を増大させてきた。
こういう出来事に対して、一方で、オートバイは、人間のより本源的な心の有様を気付かせる。「規則正しい生活」のような近代の常識を、相対化してくれるんだよなぁ...などど、うすらぼんやり思っていたような気がするが、そこに、どやどやと、港で仕事をしていた漁師のおじさん連中が、雨宿りで東屋の下に来た。
「どこから来た?」
「東京です。」
「ほー、遠くから来たの。で、なんで来た?」
「オートバイで。」
「あらあら、それは大変だ...」
と、書いてはみたものの、実際は、方言だったので、翻訳すると、ということだが。
いろいろ話を聞いていると、最近は、魚がめっきり取れなくなっているそうだ。結局、2時間くらい話をして、その間、漁師のおじさんが入れ替わり立ち替わり東屋の下に来て話をしたのだが、皆、同じことを言う。
家は港のすぐ裏にあって、港まで歩いて2分だということ、漁は夕方に網を仕掛けて早朝引き上げに行くこと、週末も何も関係ないこと、これからは鮭の漁期なこと、冬はタラやアンコウが穫れること、サンマやカツオはもっと大きい船で穫りに行くこと、最近、そういう大きい船を持っている気仙沼の会社が倒産していること、今年の夏は暑かったこと、暑い時はこの東屋に来ると涼しいこと等々、いろんな話を聞いた。
普段、話をすることがない人達なので、とても楽しい時間だった。で、皆の話で共通に感じたのは、ここが、いったいどういう場所なのかを知りたがっているのでは、ということがひとつ。想像でしかないが、生まれた時からずっとここに住んでいて、自分の生活に疑問を持っているのではないかということだ。最近は、魚が穫れないとのことなので、余計にそういうことを考えるのかもしれない。
もうひとつは、自然を知り尽くし、日々、魚と知恵比べをしているような仕事ぶりは感じなかったこと。実際は違うのかもしれないが、どこかで決められたことを言われた通りにやっているというイメージを持ってしまった。「老人と海」の老漁師のような格好よさはなかったなぁ。
さて、雨も止んできた。もう、11時に近い。いくらなんでも、行くことにしよう。漁師のみんなも自分の仕事に帰っていく。カッパを着て出発だ。結局、言葉が半分くらいしか理解できなかったことが残念だ。
途中、気仙沼の街を通り過ぎていく。日曜午前中の港町は、雨模様ということもあって、寂しげだった。
海岸沿いの道を南に向かって行くが、海には遠いらしく、周辺は内陸の道のようだ。時々、雨がバラバラと降ってくるが、進行方面の空は明るい。
しばらく走っていると、もう、昼を過ぎているので、腹が減ってきた。途中、志津川で、ツーリングマップルに載っているすし屋を探すが見つからない。他に適当な店もないので、そのまま、女川に向かうことにする。途中、道を間違えて引き返したりしながら、海岸に沿って走る。所々に、小さな港が点在しているが、もう、夏も終わり、港の村々は、ひっそりとしていた。もっとも、国道は海から離れているので、所々で、交差点を曲がって、海岸沿いの道を選ぶのだが。
女川が近づいてきた。空は、先ほどから、すっかり回復して快晴だ。女川は、昨年の夏に新幹線&レンタカーで来た。その年は、冷夏で天候が悪く、オートバイの予定を諦めたのだ。ツーリングマップルによると、おじか食堂という店があり、うに丼がおすすめらしい。が、その時は、店の前に行列ができていてパスをした。今日は、時間は、もう、3時近い。閉まっているかもしれないなぁと思いながら店に行くと、のれんがかかっている。ラッキーと思いつつ、店内に入ると、まだ、たくさんの客がいた。席に座ってメニューを見ると、うに丼が目に入る。今が旬の焼きサンマと合わせたメニューもあるが、ここは、シンプルにウニ丼を注文。
周りを見回すと、カップルの観光客が結構多い。るるぶを見たりして、いかにもという雰囲気だ。この店も、その類いの本に、よく載るのだろう。しばらく、待っているとウニ丼が来た。濃厚な味という点では今ひとつだが、それでも、くさみは全くなく、とてもおいしい。あっという間に食べきってしまった。これで、\2,300はお買い得だね。
店を出ると、すぐ後に、店の前に停めてあったRaidの乗り手の若者も出てきたので、少し話をする。彼は、これから遅い夏休みで東北を回るとのこと。うらやましいなぁ。
気をつけてとお互いに挨拶をして出発。女川の市街のあちこちに看板があって、今日はサンマ祭りだったらしい。もっと、早く気がついていればとも思ったが、もう時間も遅いので先を急ぐことにする。
三陸の漁港
三陸の漁港。すっかり晴れ上がった
でも、いったい、今日はどこに行くのだ。まだ、家に帰るのか、もう、一泊していくのか決めていない。まぁ、いずれにしろ、この辺りにいいキャンプ場はなさそうなので、とりあえず、東京方面に向かう。
松島近辺から高速道路に乗るために、石巻に向かうが、途中、大渋滞。こんな所で渋滞に巻き込まれるとは思わなかった。しかも、道が狭いのですり抜けもできない。悶々と渋滞にはまっていると、エンジンの温度計が上がってきた。気温も高く、暑いくらい。GSは、こういのが苦手なのだ。地図を見ると海岸沿いに道があるようなので、そちらに切り替えてみた。と、空いているじゃないか。なんで、渋滞にはまっている連中は、こちらを走らないのだろうか。
途中、道に迷ったりしながらも、石巻の市街に入る。ここは、漫画家の石ノ森章太郎の出身地に近いらしく、彼にちなんだテーマパークで、変わった形の建物があった。
松島に少し寄ろうかなとも思っていたが、あの渋滞では松島近辺も相当混んでいるに違いないと考えて、早々に高速道路に乗る。これに乗ってしまえば、あとは東北道までそのまま行ける。
順調に東北道に入り、ひとつ目のサービスエリアに入る。もう、5時過ぎだ。ここで、おみやげに、ずんだ餅と気仙沼のふかひれラーメンを買う。
が、おみやげは買ったものの、なんだか、疲れてしまった。帰ろうと思えば、東京まで行けるが、危険な感じもする。天気の予報もいいようなので、以前から気になっていたあだたら高原のキャンプ場を目指すことにする。ここは、東京方面の途中で、インターから近いし、キャンプ場が気に入らなければ帰ればいいや。
サービスエリアから1時間程で、二本松インターに着いた。インターの周りには、スーパーがたくさんあるので、買い出しをする。晩ご飯は、面倒なので、おみやげのふかひれラーメンにしよう。酒は、大七を購入。福島の酒とは知っていたが、二本松の酒とは知らなかった。
途中、道に迷いながらも、なんとか、あだたら高原野営場に到着。標識がないのと、道路に外灯がないため辺りは真っ暗で、ちょっと苦労してしまった。それでも、キャンプ場には結構な明かりがあり、思った以上に人がいた。オートバイも多い。少しサイトを歩くが、地面の様子が暗くてよく分からないので、明かりで様子が分かる炊事場に近い所に張ることにした。
テントを張り終わった後は、オートバイですぐの岳温泉に行って公衆浴場に入る。時間は、もう、8時に近く、風呂は8時半までとのこと。といわれても、くたびれているので、そんなに長湯はできない。風呂を出た後、温泉街でビールを買う。岳温泉は思っていたより規模が大きく、街並も整備されていた。あまり聞いたことがない温泉だが、東北では有名なのかな。
あだたら高原野営場に戻ると、ビールを開けて、一息。ふー、なんだか、今日は、疲れたよ。午後は、結構、暑かったので、体力を消耗したのかな。
ラーメンを食べた後、大七をちびちびやっていると、子連れのお父さんが声をかけてきた。このキャンプ場は、オートバイの乗り入れができるので、テントの近くにGSを置いていたのだが、それに興味を持ったらしい。話をすると、そのお父さんもオートバイ乗りで、ハーレーを持っていると言っていた。今日は、自分はオートバイで、車は奥さんの運転で来ようとも思ったけど、結局、自分の運転で車で来たとのこと。福島に住んでいて、予報が外れて天気がよくなったので、じゃあ、キャンプにでも行くかというノリらしいが、自宅から1時間くらいで来れるとのことだから、うらやましい話だ。話をしている最中に、女の子がお父さんにじゃれついていた。かわいいねぇ。
空を見上げると、星がよく見えた。来て、よかった。
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