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港町食堂
(奥田英朗、新潮文庫)


港町食堂青山ブックセンターの旅特集コーナーで見掛けてからずっと気になっていたのが「港町食堂」。著者は直木賞作家とのことだけど、肝心の著作の方は読んだことがないまま、買って読んでみた。

本書は、タイトルの通り、港町を巡る旅行記で、その行き先は、土佐清水、五島列島、牡鹿半島、佐渡島、釜山、そして、礼文島。行程は、企画っぽいものが多く、例えば、牡鹿半島の回では、一度名古屋に行ってそこからフェリーで仙台に入るというコースを取っているし、礼文島も、よりによって行ったのは冬で予想通りフェリーの欠航にもぶつかっている。そもそもの企画がそんな感じなので、全体としては、土地の風土を感じ・歴史を辿るというような「高尚」なものではなくて、割とフツーなところを、中年独身男性のちょっとひねくれた視線と共に、おもしろおかしく巡るというもの。全体的にコミカルで、気軽に読める。冬の礼文島に行く前に寄った稚内で、幾つかの観光地を巡った後、同行の編集者が「もうすることがなくなりました」と言うのには笑えた。そりゃそうでしょ。

ただ、著者はグルメらしく、食べ物は本当においしそうな海の幸を食べている。うらやましい。で、豪勢な夕食の後は、スナックへというのが大抵の流れなんだけど、このスナックの場面がなかなかいいのだ。オートバイに乗っていると、地元の人に声を掛けられることが割りと多いので、そんな会話から土地の生活を知ることがあるけれど、この旅行記では、スナックでの会話からそういう情報を仕入れている。今まで、そんなこと考えたこともなかったけど、スナックというのもいいなぁと思いながら読み進めた。そういう点では、タイトルは、「港町食堂」よりも、「港町スナック」の方が合っているかも。

ちなみに、読み終わった後、ネットで著者を検索すると、文章からイメージされるそのままのご尊顔の画像がヒットしました。

新規作成(10/6/12)

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