ホーム > 本棚 > 日本の霊性


日本の霊性 越後・佐渡を歩く
(梅原猛、新潮文庫)


梅原猛の紀行文は、「日本の深層 縄文・蝦夷文化を探る」と「日本の原郷 熊野」を読んだことがある。「日本の深層」は東北論、「熊野」の方はタイトル通りの熊野論であり、どちらも、縄文文化や霊性といった日本の古層に属する概念の角度から書かれた地域論になる。自分は、ツーリングの前後に、現地を知るために読んだのだが、特に、「日本の深層」は、そこにある芭蕉の奥の細道の句の解釈に感動して以来、時々、読み返す重要な一冊になっている。

日本の霊性 越後・佐渡を歩くで、本書「日本の霊性 越後・佐渡を歩く」は、たまたま本屋で見つけたのだが、そんな著者の書く越後・佐渡論なので、正月の合間に、期待と共に読んだ。
実際、読み始めると、今回の紀行の理由を、「日本の深層」を書いた際、縄文の遺民である蝦夷の居住地だった陸奥・出羽・越の中で、陸奥・出羽は訪れたが、越だけは行っていなかったためと書いてある。

その及ぶ範囲は、縄文遺跡・火焔土器から、上杉謙信、親鸞・日蓮・良寛・白隠等の宗教家、坂口安吾・川端康成等の文学者、果ては田中角栄等々と非常に広い。中でも中心は、縄文文化と、その後の越後・佐渡が宗教史にもたらした霊性を、親鸞・日蓮・良寛の人となりと思想から読み取るところになる。ただ、「日本の深層」に比べると、霊性という観点からの切り込みが少し浅い気がする。何故、親鸞や日蓮が、越後・佐渡で、その宗教的霊性を深めることができたのかがイマイチ分からなかった。
あと、もうひとつ、どうでもいいことだけど、所々、年寄りの自慢話のように感じられる文章があるのが気になった。本人は全くその気はないのだろうけど、なんとなく、引っかかる文章がある。

なので、ともすると、霊性というよりは、越後・佐渡出身の著名人の広範な紹介という感じもするが、筆者独自の観点や洞察は面白く、あっという間に読み終わってしまい、この本を持って、現地を回ってみたくなった。
しばらく、新潟方面、特に、佐渡島には行っていないので、今年は、走りに行こうかな。

新規作成(08/1/13)

ツーリング | キャンプ場ガイド | BMW R1150GS | 本棚 | その他旅行記 | 過去の雑記 | リンク
(c) Copyright teruyuki 2005-