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いつか風が見ていた
(佐々木譲、CBS・ソニー出版)


いつか風が見ていた古本屋で、偶然、「いつか風が見ていた」を発見。「振り返れば地平線」の著者に、その続編のようなものがあるのをどこかで知って、なんとなく、タイトルを憶えていたのだ。
値段は\200だったので、迷わず、レジへ直行。

内容は、四章から成っており、各々は独立していて、共通しているのは、全て、オートバイが関係しているということ。で、「いつか風が見ていた」という本と同じタイトルの一編が、「振り返れば地平線」の続編になる。
が、自分は、もう、「振り返れば地平線」の内容はすっかり忘れてしまっていたので、あとがきを読んで、ようやく、続編ということが分かったという体たらく振り。
そういうことなので、前作とのつながり云々は別にすると、北海道へ何回かツーリングに行っている人ならば、そうだよなと思える内容。主人公の辿るルートは、地図で確かめなくても、よく分かる。
ただ、旅そのものというよりは、あくまで、北海道ツーリングをベースにした人間模様が、ストーリーの中心になっている。あとがきにあるように、筆者は、オートバイに乗ることそのものよりも、オートバイを取り巻く要素の方が好きとあり、実際、他の三つの短編は、ツーリングとは関係のない内容になっている。

例えば、「ラストラン」というレースにまつわる短編。主人公は、頓挫してしまった、自社のワークスチームのエースライダーとの契約交渉の立て直しを図る。その一方で、自身のキャリアとして、今の会社でゼネラリストとして生きるのか、それとも、自分のスキルやキャリアを活かして別の会社で働くのかという選択を迫られている。そして、そのエースライダーの生き方に、自分の生き方を重ねて行くというストーリー。
なので、オートバイ・レースは、あくまで材料であって、いかに働くかという方に重点が置かれている。それでも、本書が出版された85年の当時は、スペシャリストとしての働き方はマイナーだったようで、当時と現代の考え方の違いが見えて面白くはある。

というわけで、ライダーならば、読んで面白いだろうけど、旅を感じさせるという点では、ちょっと、物足りない。

新規作成(08/9/10)

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