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ビートニクス コヨーテ、荒地を往く
(佐野元春、幻冬舎)


ビートニクス コヨーテ、荒地を往くたまたま、本屋で見掛けた「ビートニクス コヨーテ、荒地を往く」の著者は佐野元春。自分は、佐野元春の音楽にはあまり興味はないけど、ネットへの取り組みを積極的に進めている斬新なアーチストという認識はあった。が、ビートに造詣が深いとは知らなかった。まえがきに、こうある。

「荒地を往く「旅」について考えてみる。かつて五〇年代ビート世代が試みたような、文明において制度を激しく拒むところから出発する放浪の思想は、今や文明に定住する者たちをかつてのように激しく喚起しない。なぜなら、ユニバーサルなレベルで加速するネットワーク社会の中で、僕自身を含む文明に定住する者たちは、すっかり外部を失いかけているからだ。外部とは、すなわち「自らの思考をフィールドワークし、生を確認する場」のことだ。だとすれば今、求められているのは新しい放浪のかたちではないか。僕は夢想する。新しい思想と新しい行為を持った「旅」のかたちを。僕は思想する。忍耐と想像力を傍らに往く創造的な「旅」のかたちを。」

おー、その通り。格好いいじゃん。というわけで、本書を持って、レジに向かった。

本書の構成は、前半がビートに関するエッセイ集で、後半はビート運動の中心人物達へのインタビューになっている。
が、前半のエッセイは、ビートにまつわる佐野元春周辺の極私的な出来事やビートへの極私的な思いについてつらつら書かれているだけで、笹野元春という人物に興味がない自分には、どーでもいいなぁという印象。また、インタビューは仕方ないが、エッセイは、10年以上前の文章の加筆・修正で、まえがきにあった「ネットワーク」やら「外部」への言及は皆無。なんで、今更、10年以上前の文章を改めて本にする必要があったのかと感じてしまった。
DVDも付いているのだが、これまた、佐野元春の個人的な思いがたっぷりつまった内容で、うーんという感じ。

文章は洗練されていて、DVDもプロモーション・ビデオみたいで格好いい。佐野元春という人が、こんな色々な才能を持っているとは知らなかった。が、如何せん、内容が彼の私的周辺に偏り過ぎている。
というわけで、彼のファンにはいいのかもしれないが、そうでない人にはオススメできない。

自分は、ビートの言いたいことはよく分かるつもりだ。ビート・ジェネレーションが問題と考えていたことは、今も解決されないままに残っている。が、ビートに対するイメージとして、他の文化圏の人々は普通に気づいていたことを、アメリカ人達が、さも自分達の大発見のように思い込み大騒ぎしているだけというのがあって、どうも深入りできない。「路上」(ジャック・ケルアック)も、途中で飽きてしまったし。
本書には、そういうイメージを払拭する期待もあったが、そうはならなかった。というか、そういう話の前に、幻冬舎には、まんまと嵌められたなという感じ。

新規作成(08/3/15)

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