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アポロンの島
(小川国夫、講談社文芸文庫)


アポロンの島小川国夫という小説家の名前を初めて知ったのは、今年の4月に亡くなった際に、新聞か何かで、追悼文のようなものを見掛けたのが初めてだった。
その文章の中に、「アポロンの島」という作品は、若い頃に地中海周辺をオートバイで旅した際の体験を元に書かれたとあったのを読んでから、それとなく、本屋に行く度に探していた。が、なかなか無くて、もう絶版なのかなと思っていたら、先日、新宿の高島屋の隣の紀伊國屋で発見。思わず手に取って、レジに進み、読み始めた。

なので、小川国夫については、全く、何の知識も持たず読んでみたのが、これが、難解。いわゆる、「文学」ですな、これは。
本書は短編集で、内容は、ざっくり言って、子供時代と地中海を旅した時のことを元に書かれたものと、キリストについて書かれたものに分けられる。オートバイが出てくる作品は極一部で、地中海に関連したものの中に幾つかある程度。
いずれも、明快なストーリーはないのだが、そうではなくて、読んでいると、文体から何かが浮かび上がってくるというスタイル。特にそれを感じた地中海に関連した掌編では、心情を排した「〜だ。」という短い文章の連続から、地中海の明るい光や悲しみ、孤独、焦燥感が漂う。重要なのは、内容ではなくて、形式なのだ。
ちなみに、オートバイは、そういう行間を引き立たせる道具というところか。

というわけで、オートバイのことを期待して読んではいけません。

新規作成(08/9/21)

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