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北の海明け
(佐江衆一、新潮文庫)


北の海明け厚岸の辺りを地図で見ると、国泰寺跡という文字に目がいく。北海道では、寺をあまり見かけないので、大きな字で○○寺とあるのは珍しいのだ。
そんなわけで、国泰寺のことは以前から気になっていたのだが、「むい」の厚岸のページに、「北の海明け」が紹介されていたので、読んでみた。

19世紀初頭、北方ではロシアの影が次第に大きくなり、その対策が、幕府に取って緊急の課題になっていた。そんな背景の中、アイヌがロシアによりキリスト教化され、北海道が事実上のロシア領となることを防ぐべく、アイヌの仏徒化を大きな目的として、三つの官寺の建立が決定される。
その中のひとつ国泰寺の初代住職の文翁と小坊主の智弁が本書の主人公であり、彼らのドラマが、北海道の自然やアイヌの生活、和人の実態とともに描かれている。特に、後半は、仏教、ロシア正教、アイヌのアニミズムの間で揺れる智弁の生き方がストーリーの中心になり、この辺りは、現代的なテーマでもある。

フィクションというよりは、史実を忠実に追って、そこに、登場人物のドラマを絡ませる構成なので、ストーリーで読ませるというよりは、どちらかというと、歴史そのもののおもしろさで読ませる内容になる。なので、文章が硬いこともあり、もともと、国泰寺や厚岸、アイヌ、北海道等に興味がない人は途中で飽きてしまうかもしれない。
が、逆に、そういう領域に感心がある人には、オススメできると思う。

新規作成(07/4/21)

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