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童話集 風の又三郎
(宮沢賢治、岩波文庫)


童話集 風の又三郎夏の東北ツーリングで立ち寄った宮沢賢治展で、知らない童話が意外とあるのだなと思い、読んだのが「童話集 風の又三郎」(岩波文庫)。

今更、自分が、どうこう言うものでもないのだが、表紙にある「故郷の土と、世界に対する絶えざる新鮮な驚きの中から生まれた」という文章が、賢治の童話の基本なのだと思う。
そのツーリングの際には、イギリス海岸に立ち寄ったのだが、景観は、水量の増加のせいで、賢治の時代とは変わっていたようだ。とはいえ、その光景から「銀河鉄道の夜」を造り出した創造力には、自分は想像も及ばなかった。
本書にある「鹿踊りのはじまり」の冒頭も、以下の文章で始まっている。

「そのとき西のぎらぎらのちぢれた雲のあいだから、夕日は赤くななめに苔の野原に注ぎ、すすきはみんな白い火のようにゆれて光りました。わたくしが疲れてそこに眠りますと、ざあざあ吹いていた風が、だんだん人のことばに聞こえ、やがてそれは、いま北上の山のほうや、野原に行われていた鹿踊りの、ほんとうの精神を語りました。」

話は変わって、「蛙のゴム靴」という作品に以下のような文章がある。

「いったい蛙どもは、みんな夏の雲の峯を見ることが大すきです。じっさいあのまっしろなプクプクした、玉髄のような玉あられのような、また蛋白石を刻んでこさえた葡萄の置き物のような雲の峯は、だれの目にも立派に見えますが、蛙どもにはことにそれが見事なのです。ながめても、ながめてもあきないのです。...それで日本人ならば、ちょうど花見とか月見とかいうところを、蛙どもは雲見をやります。」

自分も、キャンプ場で、のんびり、ビールでものみながら、雲見をやりたい。

新規作成(07/10/2)

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