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はじめてのインド哲学
(立川武蔵、講談社現代新書)


はじめてのインド哲学彼岸の時間」に、インド哲学の言葉が多かったので、勉強のために読んだのが「はじめてのインド哲学」。

タイトルの通りの内容で、インド哲学の概要が年代を追って解説されている。といっても、新書サイズで インド哲学全体を網羅するのは不可能なので、ある程度の分量の説明がされているのは以下になる。

・ヴェーダ
・ウパニシャッド
・原始仏教
・アビダルマ(説一切有部)
・竜樹の空論
・唯識
・六派哲学(ヴァイシェーシカ、ヴェーダーンタ)
・仏教タントリズム

インドは、世界から超越した創造者を認めず、世界の根本原理(宇宙原理)あるいは究極的存在としての神を、世界の中に、または世界そのものに求めてきたという。そして、ウパニシャッドの「汝(個我)はそれ(宇宙原理)である」というテーゼの弁証を展開してきた。宇宙原理ブラフマンを認めない、インドにおいては異質ともいえる仏教も、最終的には、分裂・対立・区別を超えた一如の世界(≒宇宙原理)を目指した。そして、実践面では、そのような宇宙原理と一体となることにより、世界が聖なるものとして立ちあがってくることになる。
本書のプロローグにも、インド精神の最も重要なテーマである「自己と宇宙の同一性の経験」を中心軸としてインド哲学を辿るとある。
が、読み終えてみると、どうも、しっくりこない。また、インド哲学を見通す軸として、4章で、因中有果論/因中無果論と、属性(法)とその基体(有法)の考え方(「インド的」実在論/唯名論)の二つが挙げられているが、これでも、本書で説明されている学派が、全て、すっきりと頭に入ってくるわけでもない。

全体的な理解には何らかの軸が必要なのだが、本書を読んでいると、同じ系統の哲学の中にも主張が正反対に近いものもあり、そもそも、インド哲学の幅が広すぎて、軸の設定自体が難しいように感じた。そういう意味では、何故、同じ系統の中でも趣旨の全く異なる学派が存在しているのかという理由の説明がもう少しあれば、納得感が増したのかもしれない。

とはいえ、このようなインド哲学自体の難しさを前提とすれば、文章は平易で図解もあり、気配りが感じられ、また、コンパクトにまとまっている点において、インド哲学への最初の一歩として、オススメの本になると思う。

新規作成(07/12/24)

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