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氷結の森
(熊谷達也、集英社)


氷結の森氷結の森」は、熊谷達也の森シリーズ三部作の完結篇になる。この手の本は、いつもは、文庫になるまで待つのだが、「邂逅の森」があまりにおもしろかったので、本屋で見掛けて反射的に買ってしまった。

今回は、日露戦争後のサハリン・シベリアを舞台とした、元マタギの矢一郎の流浪の物語になる。本来は国境という概念を持たないながらも大国に翻弄される北方民族や、運命に流されつつもそれを引き受ける矢一郎のドラマが、北方の大地の上で繰り広げられる。
冒頭のニシン漁の描写は、「山背郷」を書いた著者らしく、活き活きとして、迫力があり、先を期待させる。北方民族のニブヒやウィルタも登場し、いよいよ、邂逅の森のような、生々しい生命感溢れた描写が続くのかと思いきや、そうでもない。自然の描写も、舞台が外国のせいか、あっさりしている気がする。どうも、今回は、ストーリー展開の方が重視されているようだ。
なので、自分もそうだったのだが、邂逅の森のような内容をイメージして読むと、少し、期待外れかもしれない。また、描写が足りず、なんで?と思わせるようなところもあるが、邂逅の森の先入観を除いて読めば、エンターテイメントとして楽しめる。実際、自分は、ついつい、ページをめくってしまい、結局、丸一日で読んでしまった。
テーマとしては、今、流行の国家への安易な帰属意識ではなく、自分自身の思うところを信じて進む生き方というところかな。

なお、本書では、ニブヒ、ギリヤークという言葉が使い分けられているのだが、この辺りの事情は、司馬遼太郎の「街道をゆく 38 オホーツク街道」に詳しい。
また、サハリンの地名が頻出するのだが、自分も含めて、今や、ピンとくる人は少数だと思うので、簡単な地図があれば、より分かり易いと思う。
自分は、稚内市のページまたはこちらのページを見ながら読み進めた。

雑記より移行(07/2/28)

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