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エリック・ホッファー自伝
(エリック・ホッファー、作品社)


エリック・ホッファー自伝禅とオートバイ修理技術」のことを何となく検索していたら、「エリック・ホッファー自伝」という本に言及があることを知った。
エリック・ホッファーという名前は初めてだったので、買う前に、アマゾンで本書の説明を読んだのだが、驚いた。こんな人がいたんだ。

若い頃は、季節労働者、金鉱探しとしてカリフォルニアを転々とし、40歳からはサンフランシスコの港湾労働者、以後、港で働きながら執筆活動を行う。季節労働者の頃の移動は、徒歩かヒッチハイクか貨物列車、泊まるところがなければ寝袋で寝るという生活で、自らも、「放浪者として過ごした」と書いている。で、その合間に、多分、図書館が中心だと思うのだが、様々な分野の本を読んで独学で勉強をしている。

その放浪振りは徹底していて、例えば、ひょんなことで手に入れた柑橘類研究所での仕事のチャンスを、「私は本能的にまだ落ち着くべきときではないと感じ、放浪生活に戻った。」として、捨てている。うーん、格好いいではないか。芭蕉の「日々旅にして、旅を栖とす」を地で行っている。

また、「月山」の著者も思い出される。著者の森敦も、光学工場やダム工事現場、印刷屋で働き、その後、月山を発表している。どちらも、仕事への取り組みは真面目で、そこから何かを発見しているのだが、ひとつの仕事への執着はない。気が変われば、仕事も変えるし、また、ある程度の蓄えができると、無理をして働こうとはしない。自分のような普通のサラリーマンとは正反対の生き方だ。
本書の最後に掲載されているインタビューで、エリック・ホッファーはこう言っている。

「私のいう仕事とは、生計を立てるためにする仕事のことではありません。われわれは、仕事が意義あるものであるという考えを捨てなければなりません。この世の中に、万人に対して、充実感を与えられるような意義のある職業は存在しないのです。...産業社会においては、多くの職業が、それだけを仕上げても無意味だとわかっている仕事を伴っているのです。そういうわけで、私は、一日六時間、週五日以上働くべきではないと考えています。本当の生活が始まるのは、その後なのです。」

さて、小難しい話は置いておくとして、本書で一番興味深い部分といえば、季節労働者として働いていたときに出会った様々な人物像にあると思う。思わず引き込まれるような逸話がたくさんあるのだが、この出会いは、キャンプ・ツーリングでの出会いと似ているなと思った。
ただ単に、テントが隣り合っていたというだけの理由で会話が始まる。そして、気が合えば、自分とは違う境遇や価値観の人達と一晩話をし、翌日には別々の道を辿る。
最近は、いろいろな理由から、そんな機会も減っていると思うが、それが、キャンプ・ツーリングの大きな楽しみだと思う。

あと、「禅とオートバイ修理技術」への言及は、ちょっと的外れで残念。

雑記より移行(07/2/28)

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