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2006年7月後半

7月30日(日)

■アイヌ語地名の研究(山田秀三、草風館)

東京も、ようやく、日が射すことが増えてきて、ちょっと、夏らしくなってきた。こうなると、北海道に行きたくなる。といっても、今年は、もう、夏休みをとってしまったので、北海道は絶望的(泣)。せめて、北海道関連の本にでも目を通して、行った気になるしかない。
で、そんな本の中に、これから北海道に行く人にも、旅を充実させる、ちょっとしたヒントになりそうなものがあるので、紹介をします。

北海道の魅力のひとつに地名がある。オトイネップ、ルベシベ、ビバウシ等々、独特なリズム感がある音で、思わず、口に出したくなってしまう。また、その発音に無理矢理当てた漢字から音を考えるのも楽しい。で、気になるのが、その地名の意味。なんで、こんな音なのか。もちろん、アイヌ語が基になっているのだが、アイヌ語地名に関しては、山田秀三という人が第一人者らしい。

アイヌ語地名を歩くアイヌ語地名を歩く」(北海道新聞社)は、北海道をツーリング中に立ち寄ったアイヌ関連の施設(白老だったかな)で、たまたま買った。新聞連載の書籍化なので、体系的ではないが、読みやすいし、これだけでも、基本的な知識を得ることができる。例えば、北海道には、内(ナイ)や別(ベツ)という音が付いている地名が多いが、これは、アイヌ語で川を表すナイとペッからきている。こんな、ちょっとしたことを知っているだけでも、ツーリングが奥深くなると思う。
また、アイヌ語の地名は、大半が、その場所の地形に基づいて名付けられているので、アイヌ語地名の意味を理解するためには、実際に現場を見る必要があるのだが、その際の旅行のエピソードや人物模様、地名と関連した様々なアイヌの生活の話も興味深い。

アイヌ語地名の研究ちなみに、山田秀三の著作に関しては、あと、全集「アイヌ語地名の研究」(草風館)4巻を持っている。たまたま入った古本屋に、4冊セットで置いてあった。確か、もう一冊と合わせて、合計\2万円だったと思うが、これも、また、たまたま、財布の中に一万円札が2枚以上あったので、運命のようなものを感じ、高いなぁとは思いながらも、ついつい、買ってしまった。
こちらは、結構なボリューム・値段なので、お奨めはしないが、拾い読みをするだけでも、おもしろい。
著者は、北海道で企業を設立し、社長・会長を勤め、現役時代は、週末に現地を訪れて、地名の研究を行っていた。それにも関わらず、その現場行の範囲は広く、調査は緻密で、事実を第一に重視する姿勢と合わせて、宮本常一を思い出す。
また、アイヌの北海道には地名の数が多く、溝のような川にまで名前が付いており、その多さは、日本で随一だったらしい。アイヌが、いかに自然と密接に生活していたのかが分かる。地名は、その文化を映す鏡のような役割を果たしている。地名から分かるアイヌの生活が、とても、しっくりきます。

地名を知ることは、その地名を名付けた文化を知ることにつながる。地名に関心を持つことにより、ツーリングに新しい視点が加わり、また、北海道をより深く理解できるのではないだろうか。
参考までに、「アイヌ語地名の研究」によると、上に書いたオトイネップの意味は次の通りです。
アイヌ語地名は、川の名前が地名になっていることが多いのだが、オトイネップもその例で、「オ・トイネ・(川口の・にごっている・もの)から出たもので、こうした濁り川にはイトウがいるので名づけられた。」


7月25日(火)

■若山牧水(2)

先に書いたような徒歩による視点に加えて、寂寥感というか孤独感といったものが、牧水の紀行文の雰囲気のひとつになっていると思う。この辺りも、オートバイのソロ・ツーリングをしていると、思い当たるところが多い。以下は、文章ではないが、自分が好きな歌のひとつ。

「湯あがりをひとりしお居ればわが肌に旅をかなしむ匂ひこもれる」

<一人で走っている。時間は、もう、夕方。だけど、まだ、今夜のキャンプ場は決まっていない。そろそろ、風呂を考えないと、入りそびれてしまうので、温泉に入った。
外に出ると、湯上りの体に、夕方の涼しい風が気持ちいい。ほっと、ため息が出る。
風呂道具を、オートバイにしまう。見上げると、空が、赤く焼けてきた。さて、これから、何処に行こうか>
そんな時に、沁みる歌なのです。
後は、酒ですね。酒に対しては複雑な思いもあったようだが、本当によく酒をのむ。朝からのんでいる。昼ものんでいる。もちろん、夜も、のんでいる。そのせいで、43歳の若さで亡くなってしまうのだが、酒をのんでいる場面には、無条件で共感できてしまうのです。ハハハ

さて、最後に、自分が読んだことのある牧水の著作を紹介します。

みなかみ紀行(岩波文庫)
牧水の紀行文を代表する作品。

若山牧水随筆集(講談社文芸文庫)
冒頭に、代表的な短歌が、120首掲載されている。その後は、文章になっているが、紀行文より随筆的な文章が多い。酒の話もあるし、焚火の話もある。牧水も、焚火は好きだったらしい。

牧水紀行文集牧水紀行文集(高田宏編、彌生書房)
編者が、特に選んだ牧水の紀行文集。この本は、内容もいいけど、オビがいいのです。普通、読み終わった本のオビは捨ててしまうが、この本のは、そのまま着けてある。「旅と人生」。かっこうよいじゃあないですか。

□今日も旅ゆく 若山牧水紀行(大岡信、平凡社)
古本屋で買った本だが、「松岡正剛の千夜千冊」によると、「若山牧水 - 流浪する魂の歌」(中公文庫)が文庫版らしい。牧水の生涯を辿っている。この本に、丸沼には発電所が作られ、そのダムのために水位が上がり、牧水が泊った養魚場は水没したと書いてある。
本文の最後は、以下の歌で締めくくられていた。

「天地のいみじきながめに逢う時しわが持ついのちかなしかりけり」


7月23日(日)

■若山牧水(1)

この前の信州ツーリングで少し触れた若山牧水は、中学校か高校の国語の授業に出てくるので、日本人ならば、名前くらいは知っていると思う。歌人だが、また、紀行文や随筆も残している。自分が、なぜ、牧水に興味を持ったのかはもう忘れてしまったが、初めて読んだ本は、多分、「みなかみ紀行」(岩波文庫)だったと思う。信州の佐久を出て、草津から東へ向かい、沼田を通り、金精峠を越えて日光方面に出る旅を綴った紀行文だ。途中、法師温泉にも寄っている。この経路は、日本ロマンチック街道と重なっている部分があり、その途中にある暮坂峠には、牧水の像がある。この辺りは、関東在住のライダーならば、一度くらいは走ったことがあるかしれない。
牧水は、この行程の多くの部分を徒歩で進んでいる。この旅に限らず、牧水はよく歩くが、そのせいか、天候や、肌で感じる空気というか気配に関する描写が多い。オートバイの場合、徒歩ほどのきめ細かな感情の起伏はないが、直接、自然に身を晒しているところは共通なので、共感できるところは多いと思う。この紀行は10月下旬のものだが、山の季節の移ろいは早く、既に秋も深まっており、冬の澄み渡った、静かで透明な気配が感じられる。

「此処もまた極めて原始的な湯であった。湧き溢れた湯槽には壁の破れから射す月の光が落ちていた。」

丸沼旅の後半、沼田から日光へ向かう途中、金精峠の手前、群馬県側にある丸沼で一泊している。当時、湖畔には、虹鱒の養殖のために、3,4軒の家が建っており、そこで宿を借りている。丸沼は、相当な山奥にある。そんなところで、晩ご飯のために、指先が凍える程の寒さの中で釣りをし、その後、家の中の榾火の周りで、わざわざ持参した酒をのんでいる。まるで、おとぎ話か昔話のようで、自分の好きな一節だ。
ちなみに、丸沼は、今、行っても、ひっそりとしている(右写真)。湖畔には、ホテルと食堂兼みやげもの屋のような店が一軒あるだけ。標高が高いので、夏でも気持ちのいい風が吹いている。湖の雰囲気は違うけど、なんとなく、オンネトーを思い出す。
ここの湖畔に、いいキャンプ場でもできれば、日本一のキャンプ場になるのになぁ。

(つづく)


7月21日(金)

クムラン■クムラン(エリエット アベカシス、角川書店)

クムラン」(エリエット アベカシス、角川書店)という本を読んだ。死海文書を題材にした小説だ。ちなみに、死海文書とは、死海の畔のクムランという場所で発見された約2000年前のユダヤ教に関連する古文書群で、キリスト教成立にまつわる新しい事実を提供するものではないかとも言われてきた。また、発見されてから、なかなか、公開されなかった文書もあり、教会にとって都合が悪いことが書かれているので、バチカンが陰謀をめぐらしてそうしたのだ、というようなことまで言われたらしい。だいたい、「死海文書」という名前がよいではないか。なんだか、すごいことが書いてありそうな気がする。
ただ、さすがに、これは、トンデモ系の話のようだが、キリストにまつわる様々な謎〜キリストとは誰だったのか、本当に実在したのか、なぜ死ぬ間際に「神よ、神よ、なにゆえ私を見捨てられるのか?」と言わねばならなかったのか等々〜というミステリアスなテーマに関係している可能性があることや、発見された文書が辿った不可思議な経緯によって、多くの人の興味を引き付けてきた。
本書は、そのような死海文書を題材に、ユダヤ教徒の主人公が、文書に関連して起こる殺人事件の謎を解いていく。描写が詳細すぎるところがあって、ところどころ、飽きる部分もあったが、殺人が磔刑で行われるといったおどろおどろしい雰囲気や、殺人事件の謎解きと並行して、上述のキリストに関する謎の解明も進行して行くので、ついつい読んでしまった。ただ、この本は、事実を素材にしているとはいえ、あくまで、創作なので、その点、誤解の無きよう。
聖書は欧米の小説や絵画を理解するためには必須の知識なので、自分は学生の時に読んだ。が、それ以来、目を通したことがなかったので、もう、ほとんど忘れており、本書を読んだ後は、キリスト教の復習も兼ねて、「聖書の謎を解く-誰もがわかる「福音書」入門 」(三田 誠広、PHP研究所)を読んだ。宗教ではなく、歴史としてのキリスト教を知りたい人には、読みやすくてオススメです。


7月19日(水)

アウトライダー1994年7月号■アウトライダーの北海道企画

先週金曜日の雑記に、アウトライダーの北海道企画の中で、印象に残っている号のことを書いた。で、その号数を調べるために、昔のアウトライダーをひっくり返していて、もうひとつ見つけました。それは、1994年の7月号です。著者の81年夏の北海道の旅の記憶を振り返り、その時の足跡を訪れ、ノスタルジックに93年夏の旅を描いている。その中の一文を。

「その日は突然やって来る。テントのジッパーを開けた朝の風がヒヤッとした。クナシリとの間にひろがる凪いだオホーツク海のきらめきが妙に透き通っている。空が高い。長い旅先で季節の変わり目に遭うのは、どこか人恋しい。」

自分は、直接、このような経験をしたことはないけど、北海道の高く、澄んだ空が目に浮かぶよう。心に沁みますなぁ。
ちなみに、アウトライダーのバックナンバーに関しては、都内であれば、神保町の菅村書店によく揃っている。自分の場合、1992年頃から買い続けて、実家に保管しておいたが、知らない間に捨てられてしまっていた(泣)。なので、たまに寄った時に、表紙を眺めて、特に気に入った号であれば、買っています。
あと、Yahooオークションでも、よく、見かけますね。


7月18日(火)

■スーパーカブ

結局、3連休は、土曜日に、日帰りで信州に行ってきた。レポートは、更新履歴の通り、ここにアップしておいたけど、そこには書いていない失敗をしてしまった。
今、自分のGSは、オートバイ専用の駐車場を借りて、そこに置いている。というのも、昨年末に引越しをして、今のマンションに越してきたが、マンションのオートバイ置き場が小さくて、GSが置けないのだ(泣)。以前のマンションは、そもそもオートバイ置き場がなく、駐車場を借りていたので、そもまま、置いているというわけです。
盗難対策がしっかりされているので、その点の心配はなくていいのだが、駐車場代が結構な負担になる。あと、そこまで、電車で行かないといけない。徒歩も合わせて、30分くらいの距離だけど、やっぱり、面倒。で、この前の土曜日は、駐車場の前に来て、オートバイのカギを忘れたのに気がついてしまった。仕方ないので、一度、家に帰って、カギを取って、また、駐車場へ。というわけで、1時間程の出遅れ。
もう、面倒なので、スクーターでも買おうか。一応、今のマンションのオートバイ置き場も確保しているし。
と思って、ちょっと調べると、今のスクーターって4ストなんだ。へー、すごいね。でも、値段が、高っ。125ccだと、\30万円以上するよ。50ccのスーパーカブでも、\20万近くするんだ。
ところで、スーパーカブって、いろんな種類があるんですねぇ。中でも、プレスカブというのがあるけど、要は、新聞配達スペシャルらしい。なんか、笑ってしまいました。でも、そこら辺の移動や買い物なら、スーパーカブ、いいかも。ツーリングに使っている人も、結構、いるみたい。

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